講演情報

[II-P02-1-04]鎖骨下動脈起始異常に対する外科的介入による身体的成長に与える影響

谷本 和紀1, 金谷 知潤1, 手繰 優太1, 宇多 佑介1, 青木 寿明2, 石井 陽一郎2, 浅田 大2, 松尾 久実代2, 森 雅啓2, 津村 早苗1 (1.大阪母子医療センター 心臓血管外科, 2.大阪母子医療センター 循環器科)
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キーワード:

鎖骨下動脈起始異常、血管輪、発育

【背景】鎖骨下動脈起始異常に対する外科的介入による嚥下障害や呼吸症状の改善は報告されているが、身体的成長への影響に関しての検討は少ない。【目的】鎖骨下動脈起始異常に対する外科的介入が身体的成長に与える影響を明らかにすること。【方法】2012年11月~2024年1月に当院で鎖骨下動脈起始異常(左大動脈弓+右鎖骨下動脈起始異常、右大動脈弓+左鎖骨下動脈起始異常)に対して外科的介入を行い、術後1年以上経過した14例を対象とした。男児7例、右鎖骨下動脈起始異常7例、有症状7例、先天性心疾患合併11例で、基礎疾患は22q11.2欠失症候群 5例、21トリソミー2例であった。手術時月齢は中央値14.7(IQR: 6.8-28.8)か月で、術前の身長・体重の標準偏差(SD)はそれぞれ -1.92±1.02、-1.93±1.03であった。術前(術前3-6か月)と術後(術後1年)の身長・体重の変化率(SD/year)を比較した。【結果】手術は胸骨正中切開5例、側開胸9例で、鎖骨下動脈再建を7例に施行した。9例で先天性心疾患に対する併施手術を行い、うち5例で人工心肺を使用した。術後挿管期間中央値は1(IQR: 0-1.75)日、ICU滞在期間 4(2-9.5)日、入院期間16(13.5-23.8)日であった。術後合併症は乳び胸3例、感染2例、横隔神経麻痺1例、反回神経術麻痺1例。死亡、再手術を要する出血、上肢虚血、脳梗塞、ホルネル症候群はなかった。術前3-6か月での身長・体重平均SD変化率はそれぞれ-1.22±2.09、-2.00±2.42で、術後1年での身長・体重平均SD変化率は-0.02±0.75、0.12±0.90であった。身長のSD変化率は有意差を認めなかった (p=0.09) が、体重のSD変化率は術後有意に改善を認めた(p=0.007)。体重のSD変化率に影響を与える因子として先天性心疾患、症状、基礎疾患、併施手術、人工心肺使用、鎖骨下動脈再建の有無などを検討したが、有意な関連は認められなかった。【結論】鎖骨下動脈起始異常に対する外科的介入は、体重発育を促す可能性が示唆された。