講演情報

[II-P02-1-06]心室中隔欠損症を伴う大動脈縮窄症および離断症に対する治療戦略

加藤 葵1, 前野 元樹1, 大沢 拓哉1, 大河 秀行1, 櫻井 寛久1, 野中 利通1, 櫻井 一2 (1.JCHO中京病院 心臓血管外科, 2.名古屋大学医学部附属病院 心臓外科)
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キーワード:

大動脈縮窄症、大動脈離断症、心室中隔欠損症

【背景】当院では心室中隔欠損症 (VSD) を伴う大動脈縮窄症および離断症に対して,可能な限り一期根治を目指している.しかしながら低体重や合併奇形のある症例,ショック状態の症例,左室流出路狭窄 (LVOTO) を伴う症例などでは,両側肺動脈絞扼術あるいは大動脈弓形成術と主肺動脈絞扼術を選択することもある.【方法】2011年1月から2024年12月までに当院でVSDを伴う大動脈縮窄症および離断症と診断された患者を対象とした.このうち二心室修復に進んだ75例を後方視的に検討した.【結果】一期根治を施行した症例は51例 (primary群),両側肺動脈絞扼術を施行した後に根治術を施行した症例は17例 (bil PAB群),初回は大動脈弓形成術と主肺動脈絞扼術を施行し後にVSD閉鎖術を施行した症例は7例 (mPAB群)であった.根治術後に外科的再介入を要した症例はprimary群で4例,bil PAB群で4例,mPAB群で1例であった.bil PAB群およびmPAB群の併せて5例はいずれもLVOTO解除術を施行していた.primary群の4例はVSDや心房中隔欠損症に対する再介入,術後乳び胸に対する胸管結紮術を施行していた.術後に大動脈バルーン形成術を施行した症例はprimary群で5例,bil PAB群とmPAB群でそれぞれ1例ずつ認めた.肺動脈絞扼解除術を施行した際に左右肺動脈形成術を併施した症例は3例で,いずれもmPAB群であった.死亡例は1例のみで,primary群で拡張型心筋症を合併した症例を術後9ヶ月で失った.【考察】一期根治でも二期的治療でも,大動脈再狭窄を認めた症例は少なく成績は良好であった.LVOTOを伴う症例には二期的治療を選択することが多いため,bil PAB群およびmPAB群では術後LVOTOに対する再介入を多く認めた.しかしながら遺残病変や乳び胸に対する外科的介入等は認めておらず,症例によっては二期的治療を選択する意義があると考えられた.