講演情報

[II-P02-1-07]小口径Nunn弁付き導管による右室流出路再建術の中期成績

伊藤 貴弘1, 梅津 健太郎1, 腰山 宏1, 萩野 生男1, 青木 満1, 鈴木 憲治2 (1.千葉県こども病院, 2.日本医科大学)
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キーワード:

right ventricular outflow tract reconstruction、Nunn valve、smaller sized conduit

【背景】小口径弁付き導管における確立した作成方法, 適切なサイズ選択は明らかではない. 当院では10-14mmにおいてNunn弁付き導管(0.1mm ePTFEを人工血管後壁に固定して2弁化)を使用しており中期成績を検討した.【方法】2018-2023年の期間, 姑息手術を除き10-14mmのNunn弁付き導管を用いて右室流出路再建を行った15例を対象とした. 生存率, 術後遠隔期の右室圧/左室圧(RVp/LVp), PR, カテーテル治療回避率, 再手術回避率を後方視的に検討した. カテーテル治療の適応はRVp/LVp>0.7, 圧較差20mmHg以上の肺動脈分岐部狭窄, 形態的な肺動脈狭窄を認める場合とした. 再手術の適応はカテーテル治療に効果がない症例またはmoderate以上のPRを伴う右心不全(RVEF<40%)とした.【結果】内訳はPA/VSDが7例, , LVOTSを伴うIAA/CoAが4例, APVSが2例, PTAが1例、PTA/IAAが1例であった. 手術時日齢は平均400日 (15-1208日), 体重は平均6.4 kg(2.4-10.0kg), 観察期間は平均4.4年(1.8-7.2年であった. 導管は10mmが3例(2.4-2.8kg), 12mmが2例(3.2-7.6kg), 14mmが10例(6.3-10kg)であった. 遠隔期生存率は5年で93%, 観察期間中の死亡は1例, 完全型Digeorge症候群に伴う免疫不全により術後1年で死亡した. カテーテル治療を行った症例は7例でカテーテル治療回避率は5年で50%, RVp/LVp>0.7のPSが1例, 圧較差20mmHg以上の左肺動脈分岐部狭窄(LPS) が1例, 形態的なLPSが5例, Nunn弁のためカテーテル治療を行えなかった症例はなかった. 導管交換は1例で再手術回避率は5年で93%, VSD拡大で導管を外したため導管不全が原因ではなかった. 術後遠隔期のカテーテル検査でRVp/LVpは平均0.6(0.26-0.8), RVEFは平均49%(31-55%) , moderate PRは2例であった.【結語】体格に見合った適切な導管のサイズ選択と形態的な狭窄に対してカテーテル治療を行うことが良好な再手術回避率に影響していると考えられる.