講演情報
[II-P02-1-09]胸骨正中切開にリスクを伴う再手術症例に対するMICS on beating MVPを施行した2例
○藤原 崚太1,2, 打田 俊司2,3, 坂本 裕司2, 鎌田 真弓2, 宮田 豊寿4, 赤澤 祐介3,5, 千阪 俊行4, 柏木 孝介4, 前澤 身江子4, 檜垣 高史3,4,6, 泉谷 裕則2,3 (1.愛媛大学医学部附属病院 総合臨床研修センター, 2.愛媛大学大学院医学系研究科 心臓血管・呼吸器外科学, 3.愛媛大学医学部附属病院 移行期・成人先天性心疾患センター, 4.愛媛大学大学院医学系研究科 小児科学, 5.愛媛大学大学院医学系研究科 循環器・呼吸器・腎高血圧内科学, 6.愛媛大学大学院医学系研究科 地域小児・周産期学)
キーワード:
先天性心疾患、MICS、MVP
【背景】先天性心疾患患者の再手術では, 高度な癒着により胸骨正中切開での手術が困難であることが多い. 今回, 胸骨正中切開にリスクを伴う再手術症例に対して, 心拍動下での低侵襲心臓手術(MICS on beating)による僧帽弁形成術(MVP)を施行した症例を経験したので報告する.
【症例1: 35歳男】1ヶ月検診で心雑音を指摘され, 精査で僧帽弁閉鎖不全症(MR), 大動脈弁上狭窄症(Supra AS), 末梢性肺動脈性狭窄症, Williams症候群と診断された. その後, Supra ASの進行を認めたため, 6歳時及び11歳時に上行大動脈patch拡大術を施行された. その後定期外来受診で経過を診ていたが, 34歳時にMRの増悪傾向と無症候性心房細動を認め, 心拍動下にMICSによる僧帽弁形成術, MAZE手術, 左房縫縮術を施行した.
【症例2: 13歳女】出生直後, SpO2低値の精査で完全大血管転位症(TGA)2型, 動脈管開存症(PDA), 卵円孔開存症(PFO), 肺高血圧症(PH)と診断され, TGAに対してJatene手術を施行した. 術後, 完全房室ブロック(AVB)を認め, ペースメーカーを留置し, 以後外来受診で経過を診ていた. 心臓超音波検査で, ARに加えて, MRの増悪を認めたため, MRに対して心拍動下にMICSによる僧帽弁形成術を施行した.
【考察】今回の2症例は, 先行手術があるため, 胸骨正中切開における癒着剥離時の大血管損傷による出血や, 大動脈遮断困難が懸念された. 僧帽弁形成手術であるためリスク回避と良好な手術視野の観点から, 本症例ではMICS on beatingによるMVPを選択した. 2例目についてはmild ARであったが左室からの逆行性血流が多く視野確保に難渋した. そこで徐脈に加え体温を下げて心拍数を低下させることで人工心肺還流量を減少させ, 視野を得ることができた.
【結論】再手術症例におけるMICS on beatingは, 胸骨再正中切開にリスクを伴い, 大動脈遮断が困難な僧帽弁手術に対して, 有用な術式オプションである.
【症例1: 35歳男】1ヶ月検診で心雑音を指摘され, 精査で僧帽弁閉鎖不全症(MR), 大動脈弁上狭窄症(Supra AS), 末梢性肺動脈性狭窄症, Williams症候群と診断された. その後, Supra ASの進行を認めたため, 6歳時及び11歳時に上行大動脈patch拡大術を施行された. その後定期外来受診で経過を診ていたが, 34歳時にMRの増悪傾向と無症候性心房細動を認め, 心拍動下にMICSによる僧帽弁形成術, MAZE手術, 左房縫縮術を施行した.
【症例2: 13歳女】出生直後, SpO2低値の精査で完全大血管転位症(TGA)2型, 動脈管開存症(PDA), 卵円孔開存症(PFO), 肺高血圧症(PH)と診断され, TGAに対してJatene手術を施行した. 術後, 完全房室ブロック(AVB)を認め, ペースメーカーを留置し, 以後外来受診で経過を診ていた. 心臓超音波検査で, ARに加えて, MRの増悪を認めたため, MRに対して心拍動下にMICSによる僧帽弁形成術を施行した.
【考察】今回の2症例は, 先行手術があるため, 胸骨正中切開における癒着剥離時の大血管損傷による出血や, 大動脈遮断困難が懸念された. 僧帽弁形成手術であるためリスク回避と良好な手術視野の観点から, 本症例ではMICS on beatingによるMVPを選択した. 2例目についてはmild ARであったが左室からの逆行性血流が多く視野確保に難渋した. そこで徐脈に加え体温を下げて心拍数を低下させることで人工心肺還流量を減少させ, 視野を得ることができた.
【結論】再手術症例におけるMICS on beatingは, 胸骨再正中切開にリスクを伴い, 大動脈遮断が困難な僧帽弁手術に対して, 有用な術式オプションである.