講演情報

[II-P02-2-04]小児に対するトレプロスチニル持続皮下注時のトラブルシューティング ~小児への適応承認に向けて~

鵜飼 啓, 竹中 颯太, 安田 昌広, 木村 瞳, 篠原 務 (名古屋市立大学大学院医学研究科 新生児・小児医学分野)
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キーワード:

肺動脈性肺高血圧、トレプロスチニル皮下注、携帯ポンプ用留置針

【背景】PH治療ガイドラインに小児IPAHの重症例に対するトレプロスチニル皮下注治療が示されているが、現時点で小児へは未承認である。当院倫理委員会で承認のもと、小児への持続皮下注を行い、繰り返す閉塞トラブルで投与継続が困難となった症例を報告する。【症例】7歳男児。診断はBMPR遺伝子変異のIPAH。登校時の失神を契機にIPAHが見つかった。カテーテル検査でPAP 96/49(68)mmHg、PARI 28.9WU・m、PCWP 6mmHgで高リスクPAHであった。酸素吸入とマシテンタン、タダラフィル、セレキシパグの3系統を連続的に追加した。治療開始から2か月後、PAP 70/27(48)mmHg、PARI 8.1WU・mへと低下した。身長123cm、体重20kgでトレプロスチニルを、直針(トップ携帯ポンプ用留置針A90RS)を用いて持続皮下注開始した。20ng/kg/min まで増量した際、閉塞アラームにより注入継続困難となった。左右の腹部・上殿部に穿刺部を変更したが同様であった。抜去したカニュレの先端は筋膜に近接していた影響か、屈曲していた。斜め針(トップ携帯ポンプ用留置針A30)に変更し腹部から投与したところ、閉塞が解除され投与可能となった。しかし斜め針へ変更後も新たに皮膚感染や予期せぬ抜去を繰り返した。最終的に、再度直針を用いて滅菌ガーゼの上から穿刺し皮膚に厚みをつけることで注入が続けてられている。【考察】 皮下組織が薄い小児に対する持続皮下注での直針の問題点は、カニュレ先端が筋膜に近接し閉塞が起きやすいこと。一方で斜め針は、固定テープの面積が大きくテープかぶれや皮膚感染を起こしやすかったり、予期せぬ抜去が問題になったりした。小児に対するトレプロスト皮下注の承認に向けて、小児に見合った穿刺針の長さや角度、側孔付きカニュレなどの改良を提案する。