講演情報
[II-P02-2-07]急性肺血管反応性試験に陽性を示した特発性肺動脈性肺高血圧症に対し、アムロジピンを使用し著効した1例
○長野 広樹, 浅田 大, 海陸 美織, 西野 遥, 加藤 周, 林 賢, 森 雅啓, 松尾 久実代, 石井 陽一郎, 青木 寿明 (大阪母子医療センター 循環器科)
キーワード:
IPAH、Ca拮抗薬、アムロジピン
【はじめに】特発性肺動脈性肺高血圧症(IPAH)において、急速肺血管反応試験(AVT)によってカルシウム拮抗薬(CCB)治療の適応を判断するが、陽性例は10%程度に留まる。AVT陽性例に対するCCBとしてニフェジピンが用いられることが多いが、アムロジピンを使用した報告は少なく、また小児への有効性も明らかでないため、特異的肺血管拡張薬による治療が優先されることが多い。今回、特異的肺血管拡張薬抵抗性のAVT陽性小児IPAHに対し、アムロジピンが著効した1例を報告する。
【症例】4歳男児、特記すべき既往歴なし。浮腫・下肢痛を認め、スクリーニング心エコーで三尖弁逆流から推定される右室圧が96mmHgとPHを認めた。PHを来す基礎疾患は認めず、IPAHとして酸素療法および特異的肺血管拡張薬2剤(シルデナフィル、マシテンタン)の導入を先行。治療開始1ヵ月後に実施した心臓カテーテル検査では、mean PAP 50mmHg, Pp/Ps 0.69, PVRI 11.0WU・m2, CI 4.0L/min/m2であり、NO 20ppm負荷下でmean PAP 26mmHg, PVRI 3.3WU・m2, CI 4.1L/min/m2とAVT陽性を示した。在宅酸素療法を導入して自宅退院を予定していたが、PHと右心不全症状の再増悪を認め、アムロジピン内服を開始したところ、速やかに症状は改善。最終的に、セレキシパグも導入した上で退院した。アムロジピン開始6ヵ月後の心臓カテーテル検査ではmean PAP 22mmHg, Pp/Ps 0.37, PVRI 3.2WU・m2, CI 4.3 L/min/m2と改善を認め、現在も外来経過観察中である。
【考察・結語】小児IPAHでは特異的肺血管拡張薬が優先されることが多いが、近年AVT陽性患者に対するCCB治療の意義が見直されつつある。急激な血圧変動を防ぐためニフェジピン徐放性製剤が用いられることが多いが、粉砕投与ができず幼児には内服が困難である。アムロジピンは本邦で小児高血圧症に対し適応のある降圧薬であり、粉砕投与が可能なことから、AVT陽性小児IPAHに対する有用なCCB治療の選択肢となり得る。
【症例】4歳男児、特記すべき既往歴なし。浮腫・下肢痛を認め、スクリーニング心エコーで三尖弁逆流から推定される右室圧が96mmHgとPHを認めた。PHを来す基礎疾患は認めず、IPAHとして酸素療法および特異的肺血管拡張薬2剤(シルデナフィル、マシテンタン)の導入を先行。治療開始1ヵ月後に実施した心臓カテーテル検査では、mean PAP 50mmHg, Pp/Ps 0.69, PVRI 11.0WU・m2, CI 4.0L/min/m2であり、NO 20ppm負荷下でmean PAP 26mmHg, PVRI 3.3WU・m2, CI 4.1L/min/m2とAVT陽性を示した。在宅酸素療法を導入して自宅退院を予定していたが、PHと右心不全症状の再増悪を認め、アムロジピン内服を開始したところ、速やかに症状は改善。最終的に、セレキシパグも導入した上で退院した。アムロジピン開始6ヵ月後の心臓カテーテル検査ではmean PAP 22mmHg, Pp/Ps 0.37, PVRI 3.2WU・m2, CI 4.3 L/min/m2と改善を認め、現在も外来経過観察中である。
【考察・結語】小児IPAHでは特異的肺血管拡張薬が優先されることが多いが、近年AVT陽性患者に対するCCB治療の意義が見直されつつある。急激な血圧変動を防ぐためニフェジピン徐放性製剤が用いられることが多いが、粉砕投与ができず幼児には内服が困難である。アムロジピンは本邦で小児高血圧症に対し適応のある降圧薬であり、粉砕投与が可能なことから、AVT陽性小児IPAHに対する有用なCCB治療の選択肢となり得る。