講演情報
[II-P02-2-09]肺高血圧症に対する肺移植後のパラメーター変化
○馬場 志郎1, 赤木 健太郎1, 福村 史哲1, 久米 英太朗1, 菅野 勝義2, 平田 拓也1, 池田 義2, 伊達 洋至3, 滝田 順子1 (1.京都大学医学部附属病院 小児科, 2.京都大学医学部附属病院 心臓血管外科, 3.京都大学医学部附属病院 呼吸器外科)
キーワード:
肺高血圧、肺移植、右心機能
肺高血圧患者に対する肺移植は、内科的治療を行っても改善しない重症例の最終治療としての位置付けとなっている。近年、小児脳死臓器移植数の増加から小児重症肺高血圧患者への肺移植も徐々に増加してきている。今回、当院で肺移植を施行した小児肺高血圧患者の中で移植前後に当院で心臓カテーテル検査を行った患者 6名、合計7回の肺移植前後の検査データ変化を評価した。患者は、男児2名、女児4名。平均肺移植時年齢は127ヶ月であった。移植術式は、生体右片肺移植と生体両側肺移植が各1回、残り5回の移植は全て脳死両側肺移植であった。移植前後で右室の心係数(Qp index)、平均肺動脈圧(mean PAp)、肺血管抵抗(Rp)中心静脈圧(CVP)、右室拡張末期圧(RVEDp)、肺動脈楔入圧(PCWp)、BNP値について評価した。結果、当然ながらmean PAp 67.1±32.6mmHgから18.3±8.0mmHgへ、Rp 17.2±12.7U・m2から2.41±1.2 U・m2へと有意に低下した。しかしながら、CVP、RVEDp、PCWp、BNP値は一部低下を認めるものも、移植前後で明らかな有意差を認めなかった。移植後の易疲労感の軽減から移植後の右室心係数増加を予測したが、移植前後で3.9±1.0L/min/m2、3.4±0.4 L/min/m2と有意差を認めなかった。肺高血圧患者の対する肺移植は有意に肺動脈圧と肺血管抵抗を低下させ、肺高血圧患者の右心不全症状を消失させるが、心係数増加による症状の消失という結果には至らなかった。症状改善の機序について更なるデータの解析と症例の蓄積が必要と考えられ、現在 サブ解析施行中である。