講演情報

[II-P02-3-01]左室流出路狭窄を伴う心横紋筋腫に対してEverolimusが有効であった結節性硬化症の新生児例

古川 晋, 永松 優一, 長原 慧, 下山 輝義, 櫻井 牧人, 山口 洋平, 石井 卓 (東京科学大学小児科)
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キーワード:

Everolimus、心横紋筋種、結節性硬化症

【背景】小児期発症の心臓腫瘍は国内において年間60例ほどと稀で、うち6割を横紋筋腫が占める。2019年に結節性硬化症随伴病変に対するEverolimusの使用が承認されて以降、心横紋筋腫に対しても治療が奏功した報告は散見されるが、投与量や治療期間に関して定まったものはない。【症例】症例は日齢1の女児。前医での新生児診察で心雑音を聴取し、心臓超音波検査で心臓腫瘍を認めたため精査加療目的に当院に転院した。左室流出路に8 mm大の高エコー源性で境界明瞭な腫瘤、右室中隔および左室後壁に複数個の小腫瘤を認めた。頭部CTでは上衣下結節を認め、結節性硬化症に伴う心横紋筋腫と診断した。左室流出路狭窄を認めていたため入院同日よりEverolimus 0.1 mg/day連日投与を開始した。入院時2.0 m/sだった左室流出路血流最大速度は、治療開始2週間後には1.4 m/sに低下し、腫瘍径も8 mm大から5 mm大に縮小した。Everolimusの投与期間は、既報に準じて2ヶ月程度を予定した。【考察】腫瘍に伴う流出路狭窄に対するEverolimusの投与は、外科的な腫瘍縮小術に対する新たな治療選択肢であり実際に腫瘍が縮小した報告は散見されるが、至適投与量および治療期間に関しては定まったものはない。投薬中止後に腫瘍の増大を認めた報告もあり、今後、注意深い経過観察が重要である。