講演情報
[II-P02-3-02]治療を要した心臓腫瘍の検討
○近藤 麻衣子1, 馬場 健児1, 福嶋 遥佑1, 重光 祐輔1, 平井 健太1, 川本 祐也1, 原 真祐子1, 笠原 真悟2, 岩崎 達雄3 (1.岡山大学病院 小児科, 2.岡山大学大学院医歯薬学総合研究科 心臓血管外科学, 3.岡山大学大学院医歯薬総合研究科 麻酔蘇生学)
キーワード:
心臓腫瘍、横紋筋腫、エベロリムス
【背景】小児の心臓腫瘍は多くは良性であるが、血流障害や不整脈、塞栓症状が問題となれば治療介入を要する【目的】当院で治療介入を要した心臓腫瘍の症例を検討【対象】2013~2024年の間に当院で治療を要した心臓腫瘍の症例【結果】<症例数>9<胎児診断>8<腫瘍の診断>横紋筋腫6、粘液腫2、繊維腫1<治療内容>エベロリムス6、抗不整脈薬3、腫瘍摘出2、PDE3阻害薬2、PGE1製剤1、心嚢ドレナージ1、ECMO管理1<治療経過>(横紋筋腫)循環障害が危惧され全例でエベロリムス投与開始、2例でPGE 3阻害薬、1例でPGE1を併用。1例でACTH療法にて再増大を認め、1例でエベロリムス中止可能であった。1例は難治性不整脈を合併し、日齢8にVT/VF stormとなりECMO装着。その後も不整脈治療に難渋し2か月で死亡。(粘液腫)1例は左室乳頭筋との区別が困難で経過観察中day13から頻回なNSVTを認め不整脈治療を開始。成長とともに腫瘍の相対的サイズが縮小、不整脈も消失し抗不整脈薬は中止した。他1例は7か月時に下血、血尿で発症、診断まで時間がかかり全身状態不良で当院搬送。左室内に腫瘍を認め、その一部が下行大動脈に嵌頓しており経カテーテル的に嵌頓腫瘍を摘除し後に左室内腫瘍の摘除も行った。(繊維腫)胎児期から心嚢液貯留あり心嚢ドレナージをday1、15に施行。1か月時から頻回なNSVTを認め、腫瘍部分摘出も改善せず11か月時に再度腫瘍摘出を行った<経過観察期間>2か月~10年6か月(中央値2年3か月)<転帰>死亡1【考察】小児心臓腫瘍の多くは横紋筋腫であり治療介入不要例も多いが、一部は巨大腫瘍のため循環管理や切除が必要な症例もある。エベロリムス投与が結節性硬化症の心横紋筋腫治療に適応拡大され(自験例の1例は適応拡大前のため倫理委員会の承認を得て使用)良好な治療効果が報告されており、横紋筋腫に対する治療の幅は広がった。一方、不整脈合併例では致死的になるものも存在し管理には十分注意を要する