講演情報

[II-P02-3-04]学校心臓検診で発見されたラミン心筋症の一例

泉田 健介, 渡邉 誠, 嶋田 香苗, 橋本 佳亮, 橋本 康司, 阿部 正徳, 上砂 光裕 (日本医科大学 医学部 小児科)
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キーワード:

ラミンA/C、拡張型心筋症、心臓伝導障害

【背景】Nuclear laminaの構成蛋白であるラミンA/Cの遺伝子異常は、家族性拡張型心筋症を引き起こす。今回、学校心臓検診を契機に家族歴のないラミン遺伝子異常に起因した拡張型心筋症を経験したので報告する。【病歴】症例は15歳男性。中学1年時の学校心臓検診では1度房室ブロック(PR時間 0.231秒)のみを指摘されていたが、他は異常所見を認めていなかった。高校1年時の学校心臓検診で心房細動と房室接合部調律を指摘され、当院を受診した。サッカー部に所属していたが、数か月前から易疲労感を自覚するようになっていた。心電図上、心房細動と3度房室ブロックおよび補充収縮調律を認め、心拍数は42 回/分であった。胸部X線ではCTR 59.5 %と心拡大を認め、超音波検査上でもEFは52 %と左室はびまん性に収縮能が低下しており、NT-pro BNPも2230 pg/mlと高値であった。心臓MRIでは、左室壁運動はびまん性に低下し、心室中隔から下壁を中心に遅延造影を認め拡張型心筋症が疑われ、遺伝子検査を行いLMNA遺伝子にバリアント(c.936+1G>A)を認め、ラミン心筋症と診断した。心房細動に対してEdoxabanを、心不全に対してEmpagliflozinを開始した。また徐脈の改善や突然死一次予防のためCRT-Dの植え込みを検討し、心臓移植も視野に入れていた。しかし当院初診から4か月後に低心拍出症候群を発症し、心臓移植が必要と判断し転院となった。【考察】一般に、ラミン遺伝子異常に起因する拡張型心筋症の予後は不良である。刺激伝導系の障害を合併した心筋症の場合、ラミン遺伝子異常に起因する可能性が高く、早期診断のためにも、速やかな遺伝子検査が重要である。