講演情報
[II-P02-3-05]左室緻密化障害に合併したアミオダロン抵抗性心室頻拍に対して、メキシレチン投与が有効だった一例
○宮村 文弥, 坂口 哲矢, 服部 裕介, 松尾 倫 (熊本大学 大学院 生命科学研究部 小児科学講座)
キーワード:
左室緻密化障害、心室頻拍、メキシレチン
【背景】左室緻密化障害(LVNC)は心室壁の過剰な網目状肉柱形成と、深い間隙を特徴とする心筋症で、無症候例から心移植適応となる症例まで重症度は様々である。今回、月齢3で発症した左室緻密化障害の9歳女児で、アミオダロン(AMD)抵抗性心室頻拍(VT)を合併し、そのコントロールにメキシレチンが有効であった症例を経験した。【症例】9歳女児。月齢3でLVNCの診断(TNNC1遺伝子変異)に至り、ACE-I、β遮断薬、利尿剤等による心不全管理が継続され心臓超音波でLVDd145%N、EF30%台で推移していた。5歳頃よりmonomorphic VTを発症し、AMD導入を行い時折sustainした際には入院管理を施行もCa拮抗薬単回静注で速やかに洞調律化が得られていた。今回自宅での頻拍自覚と倦怠感あり、VT再燃と判断し入院加療とした。入院時点で心臓超音波でLVDd:52.1mm(152%N)、LVEF:30%、BNP:965pg/mLであった。入院後、Ca拮抗薬にて洞調律化するものののの間欠的にVTを認め、心不全悪化傾向であった為、ドブタミン、ミルリノン、カルペリチド、ランジオロール静注等にて心不全加療を行った。徐々にVT頻度が増しVTに対してAMDに加えアプリンジンやCa遮断薬併用を試みたがVTのコントロールが困難であった。AMD抵抗性のmonomorphic recurrent VTにメキシレチン投与でVTのコントロールができたという成人例の報告があり、本症例でもメキシレチンを投与したところ、VT頻度の減少が得られた。【考察】心筋症が背景にある不整脈の場合は、その出現により心不全が悪化し、より不整脈が出やすくなってしまう悪循環に陥る。特に今回のように低心機能な心筋症の場合は、アブレーション等の適応判断が困難なことが多く、心不全コントロールがカギとなる。AMD抵抗性のVTの場合は、一時的にでもメキシレチン投与でその出現をコントロールでき、その間に心不全コントロールのための時間的猶予をもたらす可能性がある。