講演情報
[II-P02-4-03]Rastelli術後遠隔期にNeisseria macacaeによる縦隔洞炎・菌血症をきたした一例
○下園 翼1, 祝迫 洋樹1, 堀之内 健祐1, 櫨木 大祐1, 児玉 祐一1, 福重 寿郎1, 緒方 裕樹2, 松葉 智之2 (1.鹿児島市立病院 小児科, 2.鹿児島市立病院 心臓血管外科)
キーワード:
Neisseria macacae、縦隔洞炎、Rastelli術後遠隔期
【背景】Neisseria macacae(N. macacae)による感染症は稀であり、小児心臓手術後感染症の起因菌となった報告はない。【症例】3歳男児。完全大血管転移症3型に対して1か月時にcentral shunt+ASD creation、1歳5か月時にRastelli手術を受けた。Rastelli手術後、縦隔洞炎およびMRSA菌血症に対して6週間の抗菌薬治療を行なった。術後8か月で縦隔洞炎が再燃し、抗菌薬治療や開胸での創部洗浄、陰圧閉鎖療法を行なった。術後1年6か月までの長期入院でも創部は癒合しなかったが、ガーゼと被覆材の保護で安全に管理できると判断して一部開胸の状態で退院した。術後1年8か月時に発熱、白血球数 8,300/μL、CRP 7.52 mg/dLと炎症反応上昇を認めた。創部培養・血液培養でグラム陰性双球菌が検出され創部感染と診断しメロペネムで治療を開始した。N. macacaeが同定され、感受性を確認してアンピシリンへ変更した。14日間の抗菌薬静注後に退院し、4週間アモキシシリン/クラブラン酸を内服して合計6週間で治療を終了した。抗菌薬終了後も感染の再燃は認めなかった。【考察】N. macacaeはアカゲザルの口腔内に常在するグラム陰性双球菌で、易感染状態で感染成立するとされ、本症例では開放創が侵入門戸と考えられた。N. macacae菌血症の標準治療期間は定められていないが、人工血管を有する症例であり感染巣形成の危険性が高いと考え、6週間の長期投与を行い再燃することなく治癒した。