講演情報
[II-P02-4-07]冠動脈バイパス術後に自己冠動脈が成長し、バイパス血管の退縮を認めた2症例
○寺澤 厚志1, 長谷川 美保1, 田中 秀門1, 山本 哲也1, 桑原 直樹1, 桑原 尚志1, 小倉 健2, 中村 真2, 渕上 泰2, 岩田 祐輔2 (1.岐阜県総合医療センター、小児医療センター 小児循環器内科, 2.岐阜県総合医療センター、小児医療センター 小児心臓外科)
キーワード:
冠動脈バイパス術、Jatene手術、完全大血管転移
【背景】小児循環器疾患においてしばしば冠動脈病変を認めるが、冠動脈バイパス術(CABG)が施行されることはまれである。当院では6例のCABGが行われたが、CABG後に自己冠動脈の成長によりバイパス血管が退縮した2例を経験したため報告する。
【症例1】12歳男児。日齢0で搬送され、完全大血管転位(TGA)1型(Shaher2A)と診断、日齢16でJatene手術が施行された。1ヶ月時に急性心不全で緊急入院。カテーテル検査(カテ)で右冠動脈(RCA)50%、左冠動脈(LCA)60%狭窄を認め、心筋シンチでも灌流欠損を認めた。内科治療ののち、4ヶ月でCABG(LITA-LAD)を施行され心機能は改善した。8ヶ月時のカテではバイパス血管は良好に潅流し、LCAは50%狭窄であった。11歳時のカテではバイパス血管、RCAは閉塞したが、LCAは狭窄なく心筋シンチでも灌流欠損は認めていない。
【症例2】6歳女児。日齢0で搬送され、TGA1型(Shaher1)と診断、日齢18でJatene手術が施行された。術後左肺動脈狭窄のため2ヶ月でカテ入院した際、ST変化・トロポニン陽性を認め、心筋シンチで基部中隔の潅流低下あり心筋虚血を疑った。カテではRCA75%、LCA90%狭窄を認め、心不全治療を行うも、ECMO導入となったため4ヶ月時にCABG(LITA-LAD)・肺動脈形成術を行った。術後心機能は改善し、11ヶ月時のカテではバイパス血管の潅流は良好で、RCA50%、LCA50%狭窄となっていた。6歳時のカテではRCAは狭窄なく、LCAは40%狭窄でバイパス血管は狭小傾向にあった。
【考察】Jatene手術の際に冠動脈が屈曲や過伸展することにより狭窄が生じるといわれる。今回の症例は過伸展した冠動脈が成長することにより、自己矯正され狭窄が解除されたと考えられた。
【結語】CABG後に冠動脈の成長により自己冠動脈血流が増加することでバイパス血管が退縮した症例を経験した。急性期をCABGにより乗り切ることで遠隔期に冠動脈狭窄が改善する症例もある。
【症例1】12歳男児。日齢0で搬送され、完全大血管転位(TGA)1型(Shaher2A)と診断、日齢16でJatene手術が施行された。1ヶ月時に急性心不全で緊急入院。カテーテル検査(カテ)で右冠動脈(RCA)50%、左冠動脈(LCA)60%狭窄を認め、心筋シンチでも灌流欠損を認めた。内科治療ののち、4ヶ月でCABG(LITA-LAD)を施行され心機能は改善した。8ヶ月時のカテではバイパス血管は良好に潅流し、LCAは50%狭窄であった。11歳時のカテではバイパス血管、RCAは閉塞したが、LCAは狭窄なく心筋シンチでも灌流欠損は認めていない。
【症例2】6歳女児。日齢0で搬送され、TGA1型(Shaher1)と診断、日齢18でJatene手術が施行された。術後左肺動脈狭窄のため2ヶ月でカテ入院した際、ST変化・トロポニン陽性を認め、心筋シンチで基部中隔の潅流低下あり心筋虚血を疑った。カテではRCA75%、LCA90%狭窄を認め、心不全治療を行うも、ECMO導入となったため4ヶ月時にCABG(LITA-LAD)・肺動脈形成術を行った。術後心機能は改善し、11ヶ月時のカテではバイパス血管の潅流は良好で、RCA50%、LCA50%狭窄となっていた。6歳時のカテではRCAは狭窄なく、LCAは40%狭窄でバイパス血管は狭小傾向にあった。
【考察】Jatene手術の際に冠動脈が屈曲や過伸展することにより狭窄が生じるといわれる。今回の症例は過伸展した冠動脈が成長することにより、自己矯正され狭窄が解除されたと考えられた。
【結語】CABG後に冠動脈の成長により自己冠動脈血流が増加することでバイパス血管が退縮した症例を経験した。急性期をCABGにより乗り切ることで遠隔期に冠動脈狭窄が改善する症例もある。