講演情報

[II-P02-4-09]右心型単心室症に対するVentricular septation術後遠隔期に留置式カテーテルによる腎代替療法を導入し、血行動態を改善できた成人例

石井 奈津子1, 萩野 永里子1, 越智 友梨1, 馬場 裕一1, 山崎 直仁1, 玉城 渉2, 山本 雅樹2 (1.高知大学医学部 老年病・循環器内科学講座, 2.高知大学医学部 小児思春期医学講座)
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キーワード:

ventricular septation、腎代替療法、拡張不全

【背景】ventricular septation術は二心室修復を目的とし、国内では1990年ごろまで実施された術式であるが、遠隔期の長期成績は報告が少なく、末期腎不全に至った場合の腎代替療法導入は躊躇される。【症例】56歳男性。両大血管右室起始症、大血管転位、左室低形成と診断され、13歳時にRastelli術とVentricular septation術、47歳時にRe-RVOTRを受け職場復帰し通院中断していた。53歳時に浮腫の精査を行い、カテーテル検査では、右房圧20mmHg、右室拡張末期圧16mmHg、平均肺動脈圧32mmHg、肺動脈楔入圧26mmHg、左室拡張末期圧24mmHg、PA-RVOT圧格差は13mmHg、CI 2.1L/min/m2であった。両心室の拡張障害、肺高血圧症、Rastelli導管狭窄が示唆された。持続性心房細動に対するアブレーションや心臓再同期療法を行なったが改善乏しく、肝硬変・腎不全の進行により、腹水貯留・溢水のコントロール不良となっていた。56歳時に薬物加療抵抗性と判断し、腎代替療法導入を検討したが、ブラッドアクセスとしての内シャント作成は心容量負荷増大による心不全悪化が懸念された。そのため、右内頸静脈にダブルルーメンカテーテルを挿入し、皮下トンネルを介して右鎖骨下にカテーテル接続部を留置し維持透析導入とした。以後、10kgの除水が得られ、中心静脈圧は8mmHgで推移し、職場復帰が可能となった。【考察・結論】右心型単心室に対するventricular septation術後43年目の末期腎不全・心不全に対して、留置型カテーテルを使用し、安全に腎代替療法を導入することができた。低心機能患者への腎代替療法導入は、内シャント増設による心不全増悪が懸念される。しかし、留置型のカテーテルを使用すれば心容量負荷を避けて静脈灌流量の調整が可能になる。そのため、鬱血による臓器障害の進行を遅らせ、QOLの改善を期待できる可能性があり、長期留置型カテーテルを使用した腎代替療法は一つの選択肢として考慮できる可能性がある。