講演情報
[II-P02-4-10]Double switch operation術後遠隔期に院外心停止をきたした1症例の検討
○河井 容子, 喜多 優介, 竹下 直樹, 井上 聡, 梶山 葉, 池田 和幸 (京都府立医科大学附属病院 小児科)
キーワード:
ccTGA、遠隔期、致死性不整脈
【緒言】Double switch operation(DSO)は修正大血管転移(ccTGA)に対して1990年代以降多く行われているが、遠隔期予後に関する報告はまだ多くはない。また、遠隔期の致死性不整脈についても報告は限られている。今回、DSO術後遠隔期に院外心停止をきたし蘇生されたccTGA症例を経験したので報告する。【症例】12歳男児。診断は多脾症候群、ccTGA、房室中隔欠損、下大静脈欠損。10か月時に肺動脈絞扼術(mPAB)を実施されたが、左室圧の上昇が不十分であり、1歳2か月時にmPABの再調整を行い、1歳5か月時にDSO(Jatene+Senning procedure)を実施された。以後の経過は概ね問題なく、運動制限とACE阻害剤内服で経過を見られていた。12歳時、体育の授業中に意識消失しAEDにより蘇生され、当院に搬送された。蘇生時の心電図波形は心室細動であった。気管内挿管、脳平温療法を行い、2日後に抜管された。明らかな神経学的後遺症は認めなかった。心室細動の原因検索のため心臓カテーテル検査を行った。左室駆出率は50%で収縮能の目立った低下はなく、中等度以上の弁逆流も認めなかった。大動脈造影で左冠動脈起始部に狭窄を疑う所見を認め、運動負荷シンチグラムを実施したが、有意な運動負荷時の心筋虚血所見はなく、左冠動脈への侵襲的介入は見送られた。CRT-D植え込みとβ遮断薬導入を行い、外来管理継続中である。【考察】 DSO術後遠隔期の突然死・致死的不整脈の報告は少なく、その危険因子についても知られていない。本症例では心室性不整脈の原因として冠動脈狭窄による心筋虚血を疑ったが確証は得られず、特発性心室細動としてCRT-D植え込みで対応した。今後、DSO術後遠隔期の症例が増加することでの知見の集積が期待される。