講演情報
[II-P02-6-01]体位性頻脈症候群と起立性低血圧児の自律神経機能の相違の解明―24時間心拍変動解析を用いて―
○重光 幸栄1,2, 高橋 健3, 飯坂 建太4, 岩原 可名人3,5, 西山 樹3,5, 秋谷 梓2, 秋本 智史2, 松井 こと子2, 末吉 真衣1, 木村 岳人1, 東海林 宏道2 (1.桜こどもクリニック本八幡, 2.順天堂大学小児科, 3.順天堂大学医学部附属浦安病院, 4.順天堂大学医学部附属練馬病院, 5.順天堂大学大学院 小児思春期発達・病態学講座)
キーワード:
心拍変動解析、起立性調節障害、自律神経機能
【背景】近年日本人小児の10人に1人が起立性調節障害であり、その病態は自律神経機能障害に起因するとされる。その内5割が体位性頻脈症候群(postural tachycardia syndrome: POTS)、2割が起立性低血圧(Orthostatic hypotension: OH)に分類、また両者が併存する症例もあるが、各分類の自律神経機能障害の詳細は不明である。近年、24時間心拍変動解析法の進歩により、詳細な自律神経機能解析が可能となった。
【目的】起立性調節障害各分類の自律神経機能の日内変動を、24時間心拍変動解析を用いて解明すること。
【方法】対象は、桜こどもクリニック本八幡を受診し、新起立試験でPOTS単独 (POTS単独群)、POTS かつOHもしくはOH単独と診断された児(OH群)と、順天堂大学小児科で計測された健常児(健常群)。ホルター心電計で計測された連続24時間の心電計データを、起床時刻を起点に起床前8時間から起床後16時間まで4時間毎に計算した。副交感神経活性の指標である時間領域解析のRMSSD(連続するRR間隔の差の二乗平均平方根)をMATLAB上の独自のプログラムで解析した。
【結果】POTS単独群は23例(内女児17例、平均年齢 12.3±2.1歳)、OH群は10例(POTSかつOH6例、OH単独4例;内女児5例、平均年齢12.8±2.1歳)、健常群14例(内女児6例、平均年齢12.7±2.8歳)。POTS単独群では、RMSSDは24時間全体および起床時から起床後12時間まで健常群と比較し有意に低値であった。OH群では、RMSSDは全時間帯で健常群とPOTS単独群に有意差を認めなかった。
【結論】POTS単独群は起床後持続的な交感神経の活動性が過剰に活動している状態にあり、起立性調節障害児で典型的な午前中の調子悪さの原因となっている可能性がある。一方で、OHを合併した群ではPOTS単独群ほどは交感神経優位となっておらず、異なった病態が存在する可能性がある。
【目的】起立性調節障害各分類の自律神経機能の日内変動を、24時間心拍変動解析を用いて解明すること。
【方法】対象は、桜こどもクリニック本八幡を受診し、新起立試験でPOTS単独 (POTS単独群)、POTS かつOHもしくはOH単独と診断された児(OH群)と、順天堂大学小児科で計測された健常児(健常群)。ホルター心電計で計測された連続24時間の心電計データを、起床時刻を起点に起床前8時間から起床後16時間まで4時間毎に計算した。副交感神経活性の指標である時間領域解析のRMSSD(連続するRR間隔の差の二乗平均平方根)をMATLAB上の独自のプログラムで解析した。
【結果】POTS単独群は23例(内女児17例、平均年齢 12.3±2.1歳)、OH群は10例(POTSかつOH6例、OH単独4例;内女児5例、平均年齢12.8±2.1歳)、健常群14例(内女児6例、平均年齢12.7±2.8歳)。POTS単独群では、RMSSDは24時間全体および起床時から起床後12時間まで健常群と比較し有意に低値であった。OH群では、RMSSDは全時間帯で健常群とPOTS単独群に有意差を認めなかった。
【結論】POTS単独群は起床後持続的な交感神経の活動性が過剰に活動している状態にあり、起立性調節障害児で典型的な午前中の調子悪さの原因となっている可能性がある。一方で、OHを合併した群ではPOTS単独群ほどは交感神経優位となっておらず、異なった病態が存在する可能性がある。