講演情報
[II-P02-6-02]体位性頻脈症候群の各サブタイプにおける迷走神経活性低下の状況
○小川 禎治, 渡邊 望, 伊藤 啓太, 稲瀬 広樹, 飯田 智恵, 中井 亮佑, 久保 慎吾, 三木 康暢, 亀井 直哉, 田中 敏克, 城戸 佐知子 (兵庫県立こども病院 循環器科)
キーワード:
体位性頻脈症候群、心拍変動解析、ノルアドレナリン
【背景】体位性頻脈症候群(POTS)はneuropathic type、hypovolemic type、hyperadrenergic typeの3つに分類されているが、この分類と迷走神経活性の低下(hypovagal state)との関係についてはほとんど言及されていない。今回、心拍変動(HRV)解析を用いて迷走神経の関与について調べた。【症例1】13歳。主訴は呼吸困難感。胸部レントゲンでの心胸郭比(CTR)は41%。血漿ノルアドレナリン(PNA)値は144pg/mlで低値。HRV解析では高周波(HF)が臥床時1420.1ms2、ティルト時67.2ms2、RMSSDが臥床時59.43ms、ティルト時11.73msでティルト時のみ低値であった。neuropathic stateから二次性にhypovagal stateとなり頻脈を来していると考えた。【症例2】12歳。主訴は倦怠感、起立直後の立ちくらみ。水分摂取量は少なく、CTRは38%。PNA値は377pg/mlで軽度上昇のみ。HRV解析ではHFが臥床時80.1ms2、ティルト時15.1ms2、RMSSDが臥床時11.91ms、ティルト時9.51msでいずれも低値であった。hypovolemic stateから二次性にhypovagal stateとなり頻脈を来していると考えた。【症例3】13歳。主訴は倦怠感、嘔気。CTRは44%。PNA値は595pg/mlで非常な高値であった。HRV解析ではHFが臥床時1389.4ms2、ティルト時69.0ms2、RMSSDが臥床時61.04ms、ティルト時10.32msでティルト時のみ低値であった。一次性にhypovagal state(とhyperadrenergic stateの両方)を呈し頻脈を来していると考えた。【考察】POTSの原因として迷走神経の関与を意識する必要がある。