講演情報
[II-P02-6-03]Fontan手術術後患者における体位変化での経皮的酸素飽和度の変化
○内山 弘基1,2, 宮崎 文2,3, 石川 貴充1, 井上 奈緒2,3, 増井 大輔1, 中嶌 八隅2,3 (1.浜松医科大学 小児科, 2.聖隷浜松病院 小児循環器科, 3.聖隷浜松病院 成人先天性心疾患科)
キーワード:
Fontan手術術後、Platypnea-Orthodeoxia症候群、体位変化
【はじめに】Fontan循環におけるPlatypnea-Orthodeoxia症候群は右左短絡や換気血流不均等により生じることが報告されているが、その発症頻度、危険因子については知られていない。【目的】Fontan循環において体位変化による経皮的酸素飽和度(SpO2)変動の発生率、及びそれに影響する因子を明らかにすること。【方法】2024年4-12月までに二施設で診療したFontan手術術後患者(F群)94人、および2心室治療後患者(B群)67人を対象とし、SpO2・心拍数(HR)の座位-臥位での変化(ΔSpO2, ΔHR)の比較を行った。さらにF群のΔSpO2と患者背景・血行動態指標との関連を比較した。【結果】F群, B群の比較ではΔSpO2(%) median;2[IQR 0-3] vs.0[IQR 0-0] (p<0.001) 、ΔHR(bpm) median;5[IQR 1.0-8.5] vs.7[IQR 1.5-14.3](p=0.13) であった。F群ではΔSpO2≧3%は26人(28%)、≧6%は5人(5.3%)でみられ、臥位でSpO2が上昇、変化なし、低下の3パターンがみられた。F群においてΔSpO2≧3%と<3%の比較で有意差がみられた血行動態指標は、年齢(歳) median;1.1[IQR 18.4-27.4] vs.16.8[IQR 11.3-25.0](p=0.009) 、Fontan手術術後経過年数(年) median;19.1[IQR 16.3-23.9] vs.14.1[IQR 8.0-21.2](p=0.008) 、カテーテル検査時の動脈血酸素飽和度(%) median;93.5[IQR 92.9-95.0] vs.95.0[IQR 94.0-96.0](p=0.048) 、体心室収縮期圧(mmHg) median;106.5[IQR 99.3-115.0] vs.96.0[85.0-107.0](p = 0.007) 、運動負荷検査での最大SpO2 (%) median;92[IQR 90-95] vs.95[IQR 94-96](p=0.01) 、運動負荷検査での最小SpO2 (%) median;88[IQR 85-91] vs.91[IQR 89-91](p=0.005) であった。【結語】Fontan循環では2心室循環と比較して体位でのSpO2の変動が大きく1/3の患者に観察され、ΔSpO2は年齢やFontan術後経過年数と関連がある。長期間のFontan循環暴露による体肺静脈側副血行路の増生および加齢による換気血流不均等の進行を反映すると推測する。