講演情報

[II-P02-6-06]学校心臓検診データを利用した12誘導心電図における短時間心拍変動の解析

兒玉 祥彦, 高村 一成, 高橋 雅子 (宮崎大学 医学部 小児科)
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キーワード:

学校心臓検診、デジタルデータ、心拍変動

【背景】自律神経機能評価のための心拍変動解析は通常ホルター心電図をはじめとした長時間心電図によって行われ、12誘導心電図をはじめとした短時間心電図記録を利用した心拍変動解析の報告は少ない。【目的】12誘導心電図における短時間心拍変動が自律神経機能と関連するかを検討すること【方法】宮崎市・綾町・国富町で2017年から2023年に実施された学校心臓検診(学齢7歳・13歳・16歳)について、電子的に保存された12誘導心電図データとそれに紐づく二次検診データ 90,979件を活用した。心電図データからは心電計の自動計測データに加え、インハウスプログラムによって計測された一拍ごとのRR間隔を抽出した。最初の連続した2つのRR間隔の差を最初のRR間隔で除した値を短時間心拍変動(SHV)とし、SHVと各計測値との相関や、中等症以上の心疾患の有無および運動制限の有無でのSHVの差異を検討した。【結果】SHVの中央値(第1-3四分位数・以下同)は7歳 0.0619 (0.0289-0.1079)、13歳 0.0452 (0.0206-0.0812)、16歳 0.0502 (0.0222-0.0893)であった。SHVは心拍数と負の相関を示し(R=-0.201, p<0.001)、QT間隔と正の相関を示した(R=0.184, p<0.001)。SHVと心拍数およびQT間隔の相関は年齢に依存しないものの、PR間隔およびQRS幅とは、年齢に依存して正の相関を示した(p<0.001)。中等症以上の心疾患の有る症例のSHVは無い症例と比較して低値であり(0.0335 vs 0.0515, p<0.001)、運動制限の有る症例のSHVは無い症例と比較して低値であった(0.0308 vs 0.0515, p<0.001)。【結語】短時間の心電図記録から得られた心拍変動は自律神経機能を反映する指標となり得る。