講演情報
[II-P02-6-08]ファロー四徴症術後のMRIによる心機能と、運動耐容能の関連性についての検討
○若宮 卓也, 小野 晋, 橘高 康文, 小森 和磨, 矢内 敦, 池川 健, 加藤 昭生, 柳 貞光, 上田 秀明 (神奈川県立こども医療センター)
キーワード:
ファロー四徴症、MRI、運動負荷試験
【背景】ファロー四徴症(TOF)術後遠隔期における肺動脈弁逆流(PR)を有する無症候性患者の肺動脈弁置換術の最適時期は不明である。右室拡張末期容積(RVEDVI)の増加が手術適応の指標とされるが、運動耐容能が予後の強力な指標である。本研究では、心臓MRIパラメーターと運動耐容能低下の関連を評価し、高リスク患者の同定を試みた。【対象および方法】2021~2024年に当院で心臓MRIおよび心肺運動負荷試験(CPX)を1年以内に施行した6~21歳のTOF術後患者42例を対象とした。【結果】患者群の中央値は、RVEDVI 114.8±31.2 mL/m2、PR 38.7±18%、左室駆出率(LVEF)57±8.5%、右室駆出率(RVEF)49.5±11%、心係数(CI)3±0.8 L/min/m2、最大酸素摂取量(peak VO2)33±7.4 mL/kg/minであった。LVEF、RVEF、CIはpeak VO2と有意に相関した(LVEF: R=0.417, p<0.01; RVEF: R=0.489, p<0.01; CI: R=0.349, p=0.02)が、RVEDVIとの相関は認めなかった。多変量解析では、RVEF(p=0.02)、CI(p<0.01)、O2 pulse(p=0.01)、PR(p=0.04)がpeak VO2と有意に関連していた。また、peak VO2が27 mL/kg/min以下では心イベントリスクが増加するとされる。本研究において、RVEF 48%をカットオフ値とした場合、peak VO2 <27 mL/kg/minを検出する感度は64%、AUCは0.794であった。【結語】TOF術後遠隔期において、右室機能低下はRV拡大やPRよりも運動耐容能低下と関連しており、右室機能が低下した患者では肺動脈弁置換術の早期介入が望ましい可能性がある。