講演情報

[II-P03-1-02]Fontan循環に対するEXCOR導入とその長期管理の工夫

加藤 秀之, 山本 隆平, 井口 裕介, 古谷 翼, 五味 聖吾, 平松 祐司 (筑波大学 心臓血管外科)
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キーワード:

EXCOR、Fontan、単心室症候群

小児の体外式補助循環としてEXCORが導入され、心移植までの長期間の待機期間が問題視されているとはいえ低心機能の小児患者に対する最後の手段として安定した成績が報告されている。しかし単心室症候群に対するEXCOR導入成績は改善傾向にあるとはいえ、長期での成績はいまだに不明瞭である。今回我々はFontan循環で心室機能不全に陥った患児に対してEXCORを導入して3年の待機期間を経て移植に到達した症例を経験したので、EXCOR導入時の工夫、導入後の長期管理の工夫を考察し検討症例とし提示する。症例は7歳男児。僧帽弁狭窄、心室中隔欠損、三尖弁両室挿入で2心室修復困難症例であり前医にて段階的治療戦略を経てFontan手術が行われた。しかしFontan手術術後遠隔期に心室機能が著しく低下し、EF11%と重度の心室機能障害に陥った。心原性の脳塞栓症により左片麻痺を合併しカテコラミン依存の血行動態でEXCOR,心移植の適応を認め、当院に転院しEXCORの導入の方針となった。患児の両心室は著明に拡大し左室心尖は後方に偏移する形となったために脱血カニューラの挿入に3D画像での検討を要するなどの導入時の工夫が必要であった。術後急性期はFontan循環、側副血行路の存在を考慮し高めの流量のEXCORの設定で維持する方針で安定した経過をたどった。術後3日目に人工呼吸器を離脱しその後も心移植に到達するまでの3年1ヶ月大きな合併症を起こすこともなく、血栓や感染でのEXCORの交換も必要とせず安定して経過した。貴重な経験を共有するとともに順調に経過した要因を考察、検討し提示する。