講演情報
[II-P03-1-03]CRT後に心機能が改善しFontan手術へ到達した2例
○星名 雄太, 白石 修一, 渡邉 マヤ, 杉本 愛, 土田 正則 (新潟大学大学院医歯学総合研究科 呼吸循環外科学分野)
キーワード:
単心室、CRT、Fontan
【背景】単心室におけるCRTの適応は定まっておらず、症例毎に導入が検討されている。単心室のCRTについての既報に依ると、QRS時間の短縮は得られても臨床症状および超音波検査所見の改善には結びついていないケースもある。【症例】症例1: 症例は女児。在胎40週4日、3088 gで出生。出生時からみられた低酸素血症を契機にdexiocardia、CCTGA、VSD、PS、TV straddling を診断された。肺血流低下による低酸素血症に対し3か月時に右Blalock-Taussig シャント術を施行。高肺血流と心室間非同期による心不全が進行 (BNP 2552 pg/mL)、三尖弁の形態から二心室修復は困難と判断し、7か月時に両方向性グレン手術を施行した。術後、ペーシングリード逢着部の心筋壁運動低下に伴う心室間非同期あり、心不全徴候を伴った (BNP 875 pg/mL)ため、1歳1か月時にCRTを導入した。ペースメーカーリード留置にあたっては小児循環器医による2D Speckle tracing法で最も心収縮が良好で心室間非同期が目立たない位置を選定した。CRT導入後は両心室間の同期性改善に伴い心不全は軽快傾向 (BNP基準内)となり2歳6か月時にFontan手術に至った。術後経過は良好。症例2: 症例は男児。在胎39週4日、2714 gで出生。出生時の超音波検査でMA、DORV、CoAを診断され、3か月時にNorwood手術、8か月時に両方向性グレン手術を施行した。術後は抗心不全治療を継続。4歳時に心臓カテーテル検査を実施し心臓の同期性を検索したところ、右室前面に最遅延部位があり、同部位のペーシングで心室非同期の改善がみられたため、CRTを導入した。CRT導入後、BNPは30 pg/mL台で導入前と不変であったがNYHA分類の改善がみられ、5歳時にFontan手術に至った。術後経過観察を継続中。【結語】単心室の心不全2症例にCRTを導入し、心不全の改善が得られた。形態学的な心室間同期性の評価がリード留置位置の選定が有用であった。