講演情報
[II-P03-1-04]早期両方向性グレン手術の適応と治療成績:Fontan 手術に与える影響
○手繰 優太1, 金谷 知潤1, 谷本 和紀1, 宇多 佑介1, 青木 寿明2, 石井 陽一郎2, 浅田 大2, 松尾 久実代2, 森 雅啓2, 津村 早苗1 (1.大阪母子医療センター 心臓血管外科, 2.大阪母子医療センター 循環器科)
キーワード:
BDG、early BDG、Fontan
【背景】両方向性グレン手術(BDG)は一般的に生後4-6ヶ月頃に施行されるが、心室容量負荷軽減や肺血流管理を目的として、生後3ヶ月以内の早期BDGが選択されることがある。早期 BDGの有効性を示唆する報告がある一方で、適応基準やFontan手術への影響については不明確な点が多い。【目的】当院における早期BDGの治療成績およびFontan手術に与える影響を明らかにし、早期BDGの妥当性を評価する。【対象・方法】2001年から2018年に当院でBDGを施行した症例のうち、Norwood-BDGおよび1.5心室症例を除外し、3ヶ月以内にBDG を施行した25例(E群)と、4ヶ月以降にBDGを施行した196例(L群)を対象とした。早期 BDG適応理由は、弁逆流や心不全に対する心室容量負荷軽減目的9例、総肺静脈還流異常修復と同時施行4例、菌血症により人工物使用不可3例であった。まず、両群のBDG手術成績を比較し、次に、Fontan到達例を対象に、肺動脈(PA)圧、PA index、SaO2、Fontan手術時年齢、術後1年でのPA圧、BNP、生存率を評価した。【結果】BDG時の年齢中央値(IQR)はE:104(73.0-112)日、L:339(203-636)日、体重はE:4.5( 3.0-5.2)kg、L:7.8(5.9-9.6)kgで、手術死亡(E:4.0 vs L:0 %; p = 0.113)に差はなかったが、5年生存率(E:80 vs L:92 %; p < 0.05)はE群で低値であった。Fontan到達した症例(E:18例, L:177例)において、BDG-Fontan待機期間(E: 3.2(1.9-4.0) vs L: 1.9(1.5-2.5)年; p < 0.05 )はE群が有意に長かったが、手術時年齢、術前PA圧、PA index、SaO2に差はなく、術後1年のPA圧、BNP、生存率も差はなかった。【まとめ】早期BDGはより重症例に対して施行され、通常のBDGと比較して5年生存率は低かったが、Fontan手術に到達した症例の術前・術後の血行動態や転帰に有意差は認めなかった。