講演情報

[II-P03-1-09]Fontan術後21年で肝腫瘍が指摘された1例

宮田 真希1, 内田 文也1, 小倉 英3, 原田 智哉4, 淀谷 典子4, 大橋 啓之4, 杉本 和史2, 澤田 博文4, 三谷 義英4, 荻原 義人5, 土肥 薫1,5 (1.三重大学医学部附属病院 超音波センター, 2.三重大学医学部附属病院 検査部, 3.三重大学医学部附属病院 消化器・肝臓内科, 4.三重大学医学部附属病院 小児科, 5.三重大学大学院医学系研究科 循環器・腎臓内科学)
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キーワード:

Fontan手術、Fontan関連肝疾患(FALD)、肝腫瘍

【はじめに】Fontan手術は単心室先天性心疾患に対して上・下大静脈を肺動脈にバイパスする機能的修復術である.近年,Fontan術後遠隔期に,Fontan関連肝疾患(FALD)をきたしうることが知られており,Fontan循環に起因した肝鬱血による肝線維症、肝硬変、肝細胞癌などの肝合併症に関する報告が増加している.今回,Fontan術後21年で肝腫瘍が指摘された1例を経験したため報告する.【症例】20歳代,男性.診断は,内臓逆位,右心系単心室,Fontan術後症候群,蛋白漏出性胃腸症(PLE).5か月時にPA banding+CoA repair,6か月時にPA re-banding,10か月時にBDG+DKS+三尖弁形成術,3歳時にFontan(TCPC)手術施行.9歳時にPLEを発症し,16歳時からステロイド開始.Fontan術後21年の腹部超音波検査にて中等度の慢性肝障害パターン.肝S4より突出した26×19mmの境界明瞭で内部やや不均質な等輝度腫瘤を指摘された.造影超音波,造影CT,EOB-MRIの評価から,Hepatic adenomaもしくは高分化型HCCが疑われた.肝臓内科,循環器内科,小児循環器科で検討した結果,組織診断が望ましいものの,病変の部位的に針生検は困難であり,開腹生検または摘出が必要と判断された.しかし,患者様はPLEにより低アルブミン血症(2.8 g/dL)および低ガンマグロブリン血症(379 mg/dL)があり,ステロイド内服による創傷治癒遅延も懸念され,開腹手術のリスクが高いと判断され,施行されなかった.慎重な画像フォローアップが継続され,EOB-MRIでは28mmから1年後25mmに縮小した.3年半後の腹部超音波では肝実質に4mm程度のhyperechoic spotsが出現するも,S4の腫瘍径は17×11mmと更に縮小している.【結語】FALD関連の肝腫瘍の診療において,肝臓内科,循環器内科,小児循環器科の連携と,マルチモダリティーを駆使した画像評価が重要である.