講演情報
[II-P03-1-10]心外導管型TCPC術後の導管狭小化とFontan関連肝疾患との関係
○曹 宇晨1, 小出 昌秋1, 八島 正文1, 中嶌 八隅2, 宮崎 文2, 井上 奈緒2, 内山 弘基2 (1.社会福祉法人 聖隷福祉事業団 総合病院 聖隷浜松病院, 2.社会福祉法人 聖隷福祉事業団 総合病院 聖隷浜松病院)
キーワード:
心外導管型TCPC手術、導管狭窄、Fontan関連肝疾患
【背景】心外導管型TCPC[EC-TCPC]におけるePTFE 導管の進行性狭小化はFontan関連肝疾患[FALD]と相関する可能性が示唆されているが,まだそれらの関係性は明らかになっていない.【目的】導管狭小化とFALDの重要な指標の一つであるMELD-XIスコアとの関連性を検討した.【方法】EC-TCPC手術から5年以上経過した時点の造影CT(2015年8月から2024年12月に撮影)を有する22例を対象とした.導管の平均断面積(最大・最小部位を含む5ヵ所で計測したものの平均値)を身長で除した値をmean CSA indexと定義し,mean CSA index中央値を境にS群11例(中央値以下)とL群11例(中央値以上)に分けてMELD-XIスコアを比較した.数値はS群 vs. L群の順に中央値[四分位範囲]で示す.Fontan時の年齢は3.1[2.2, 3.4] vs. 4.1[3.2, 14.2]歳,EC-TCPC時の導管径は16mm:7例 vs. 1例(p = 0.02),fenestration(+)は0例 vs. 4例,直近の心臓カテーテル検査における導管前後の引き抜き圧格差は1.0[1.0, 2.0] vs. 1.0[0, 1.0]mmHg(p = 0.046)であった.【結果】EC-TCPCから15.3[13.7, 16.6] vs. 12.8 [7.7, 18.7]年後の造影CTで得られたmean CSA indexはそれぞれ0.85[0.81, 0.92] vs. 1.48[1.29, 1.67]であった.MELD-XIスコア:9.11[7.55, 12.81] vs. 5.38[0.07, 7.94](Mann-Whitney U, p = 0.007).重回帰分析の結果,S群(β = 5.1, 95% CI: 0.3-9.9, p = 0.03)はMELD-XIスコアと有意に関連していた.【考察・結論】導管断面積の小さい症例ではMELD-XIスコアが高値を示した.また,重回帰分析においても導管狭小化がMELD-XIスコアと有意に関連していた.これらの結果は,EC-TCPC術後の導管狭小化がFALDの進行に関与する可能性を示唆しており,導管形態や血行動態の長期的な評価と適切な介入の必要性が示される.