講演情報

[II-P03-2-03]22q11.2欠失症候群・心室中隔欠損を伴う肺動脈閉鎖症に合併した主要体肺側副動脈の組織学的変化

岸 勘太1, 根本 慎太郎2, 尾崎 智康1, 小田中 豊1, 蘆田 温子1, 町原 功実1, 水岡 敦喜1, 小西 隼人2, 鈴木 昌代2, 芦田 明1 (1.大阪医科薬科大学小児科, 2.大阪医科薬科大学小児心臓血管外科)
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キーワード:

del22q11.2症候群、主要体肺側副血行路、肺循環

【背景】22q11.2欠失症候群や主要体肺動脈側副血行路(MAPCA)は心室中隔欠損を伴う肺動脈閉鎖症の術後経過や長期予後に影響を及ぼし、肺循環に関連した問題が原因のひとつとして考えられている。【目的】22q11.2欠失症候群とMAPCAを合併した心室中隔欠損を伴う肺動脈閉鎖症におけるMAPCAの組織学的特徴と臨床像との関連を明らかにすること。【方法】MAPCAの離断を行った症例で術中にMAPCAの一部を採取し組織学的検討を行い臨床像との関連を調査した。【結果】2例でMAPCAの組織像を検討した。症例1:生後2か月(MAPCA組織採取時)、術前に攣縮を繰り返したMAPCAであった。MAPCAの組織学的検討では中膜の弾性繊維はやや乏しく細胞成分が優位であり、内膜の細胞性肥厚を認め、一部、内弾性板の断裂を認めた。転帰:2歳で心内修復術を施行。術後の心エコー検査での推定右室圧は左室圧の約66%で、術後1か月に呼吸器感染に伴う突然死を認めた。症例2:生後2か月(MAPCA組織採取時)。MAPCAの組織学的検討では中膜肥厚を認め、中膜の弾性繊維の密度が疎となり、走行が不規則で断片化を認めた。転帰:2歳時に心内修復術を施行。術後心臓カテーテル検査で右室圧/左室圧:0.82、肺動脈圧:36/9(20)mmHg、PVRi:3.7WU*m2、PAC:1.09ml/mmHg m2と軽度肺動脈狭窄、肺高血圧による右室圧の上昇と肺動脈キャパシタンスの低下を認めた。【考察】MAPCA合併例ではunifocalization(UF)が施行されることがあり、UF時にMAPCAの一部が肺循環の構成成分となり得る。自験例ではMAPCAに特徴的な組織学的変化を認め、術後の肺動脈狭窄、肺高血圧など肺循環に影響を及ぼす可能性のある所見と考えられた。【結論】MAPCAに組織学的変化を認め、血行動態・予後への影響が示唆された。