講演情報
[II-P03-2-04]肺静脈閉塞症・肺毛細血管腫症様の肺高血圧症を発症したコバラミンC代謝異常症
○樽谷 朋晃, 池川 健, 小森 和磨, 橘高 康文, 矢内 敦, 井上 史也, 加藤 昭生, 若宮 卓也, 小野 晋, 柳 貞光, 上田 秀明 (神奈川県立こども医療センター 循環器内科)
キーワード:
肺高血圧症、肺静脈閉塞症、代謝異常症
【緒言】コバラミンC(Cbl-C)代謝異常症では、ビタミンB12の代謝阻害により多臓器障害を生じる。合併する心血管疾患として肺高血圧症(PH)が報告されているが、その機序は不明であり治療指針は確立されていない。
【症例】3歳男児。新生児期にマススクリーニングで異常を指摘されCbl-C代謝異常症と診断された。以後、ヒドロキソコバラミンとベタインの内服を継続していた。X-2月から食事摂取不良と内服困難が出現し、X月に精査加療目的に入院した。入院2日目に低酸素血症が出現し、胸部X線と心臓超音波検査でうっ血性心不全、PHを指摘された。PDE3阻害薬と利尿剤の投与で心不全は軽快したが、PHは遷延した。肺動脈性肺高血圧症(PAH)を疑われ、SildenafilとMacitentanを導入したが肺うっ血が増悪した。2剤を中止し利尿剤を増量すると肺うっ血は改善した。造影CTでは縦隔リンパ節腫脹とスリガラス陰影を認め、肺血栓塞栓は認めなかった。心臓カテーテル検査ではmPAPが40 mmHg、RpIが9.64 Wood UnitとPHを認めた。肺胞洗浄液中にはヘモジデリン貪食マクロファージを多数認めた。以上から、肺静脈閉塞症/肺毛細血管腫症(PVOD/PCH)を強く疑った。ご両親に肺移植の希望がないことから、内科的治療を強化する方針となった。Cbl-C代謝異常症の治療薬を増量し、β遮断薬とPDE3阻害薬の内服を導入した結果、肺うっ血と低酸素血症は軽快し、入院120日目に退院した。
【考察】PVOD/PCHは多くが特発性かつ原因不明である。全身性強皮症との合併や、家族内発症の報告があるものの、Cbl-C代謝異常症にPVOD/PCHを合併したという報告はない。PVOD/PCHは肺血管拡張薬で肺うっ血を増悪しうる予後不良の疾患であり、肺移植が唯一の有効な治療法である。そのため、早期鑑別診断と慎重な治療介入を要する。
【結語】Cbl-C代謝異常症に合併したPHではPVOD/PCHも念頭に置き鑑別を進める必要がある。
【症例】3歳男児。新生児期にマススクリーニングで異常を指摘されCbl-C代謝異常症と診断された。以後、ヒドロキソコバラミンとベタインの内服を継続していた。X-2月から食事摂取不良と内服困難が出現し、X月に精査加療目的に入院した。入院2日目に低酸素血症が出現し、胸部X線と心臓超音波検査でうっ血性心不全、PHを指摘された。PDE3阻害薬と利尿剤の投与で心不全は軽快したが、PHは遷延した。肺動脈性肺高血圧症(PAH)を疑われ、SildenafilとMacitentanを導入したが肺うっ血が増悪した。2剤を中止し利尿剤を増量すると肺うっ血は改善した。造影CTでは縦隔リンパ節腫脹とスリガラス陰影を認め、肺血栓塞栓は認めなかった。心臓カテーテル検査ではmPAPが40 mmHg、RpIが9.64 Wood UnitとPHを認めた。肺胞洗浄液中にはヘモジデリン貪食マクロファージを多数認めた。以上から、肺静脈閉塞症/肺毛細血管腫症(PVOD/PCH)を強く疑った。ご両親に肺移植の希望がないことから、内科的治療を強化する方針となった。Cbl-C代謝異常症の治療薬を増量し、β遮断薬とPDE3阻害薬の内服を導入した結果、肺うっ血と低酸素血症は軽快し、入院120日目に退院した。
【考察】PVOD/PCHは多くが特発性かつ原因不明である。全身性強皮症との合併や、家族内発症の報告があるものの、Cbl-C代謝異常症にPVOD/PCHを合併したという報告はない。PVOD/PCHは肺血管拡張薬で肺うっ血を増悪しうる予後不良の疾患であり、肺移植が唯一の有効な治療法である。そのため、早期鑑別診断と慎重な治療介入を要する。
【結語】Cbl-C代謝異常症に合併したPHではPVOD/PCHも念頭に置き鑑別を進める必要がある。