講演情報
[II-P03-2-06]左上大静脈遺残を伴う心房中隔欠損症に肺高血圧を合併し乳幼児期に治療を要した4例
○山川 祐輝, 寺町 陽三, 清松 光貴, 津田 恵太郎, 前田 靖人, 鍵山 慶之, 高瀬 隆太, 須田 憲治 (久留米大学 医学部 小児科)
キーワード:
心房中隔欠損症、左上大静脈遺残、肺高血圧症
【背景】心房中隔欠損症(ASD)の乳児期に肺高血圧(PH)を合併することは稀である。左上大静脈遺残(P-LSVC)を伴うASDにPHを合併し体重10kg未満で治療を要した4例を経験したので報告する。【症例】症例1:胎児期にP-LSVCを指摘され、在胎39週6日、体重3247gで出生。生後の心エコー検査で径12mmのASD、PHを認めた。生後6か月に精査を行い、Qp/Qs 2.2、mPAP 37mmHg、PVRI 3. 8単位であり、酸素負荷試験でPVRI 1.73単位まで低下し、タダラフィル内服を開始した。生後9か月、体重8.1kg(-0.05 SD)時に経皮的心房中隔欠損閉鎖術(TC-ASD)を施行した。症例2:在胎38週6日、体重2896gで出生。気道症状と心雑音があり、生後7か月時の心エコー検査で、P-LSVCと径11mmのASD、PHを認めた。生後11か月、体重8.5kg(-0.8 SD)時に精査を行い、Qp/Qs 2.4、mPAP 33mmHg、PVRI 1.7単位であり、TC-ASDを施行した。症例3:双胎第1子、在胎33週6日、体重1348gで出生。体重増加不良があり、生後6か月の心エコー検査で径10mmのASDとP-LSVC、PHを認めた。1歳4か月、体重7.5kg(-2.2SD)時に精査を行い、Qp/Qs2.6、mPAP 29mmHg、PVRI 2.1単位であり、TC-ASDを施行した。症例4:在胎35週1日、体重1616gで出生。2歳1か月時に気道症状で近医を受診し、心雑音と心拡大を指摘され当院を受診。心エコー検査で径12mmのASDとP-LSVC、PHを認めた。2歳10か月、体重9.5kg(-2.2SD)時に精査を行い、Qp/Qs2.93、mPAP 38mmHg、PVRI 4.4単位であった。酸素負荷試験でPVRI 0.3単位まで低下し、TC-ASDを施行した。いずれの症例も慢性肺疾患などの呼吸器疾患や遺伝性疾患を疑うようなminor anomalyは認めなかった。【考察】P-LSVC合併のASDの一部では心不全やPHが乳児期から進行して早期の治療介入が必要な可能性がある。低体重児でも安全にTC-ASDを行えた。