講演情報
[II-P03-3-05]拘束型心筋症患者の臨床症状としての低身長に関する検討
○廣瀬 将樹, 末廣 友里, 馬場 達也, 林田 由伽, 加藤 温子, 石井 良, 石田 秀和, 成田 淳, 北畠 康司 (大阪大学大学院医学系研究科 小児科学)
キーワード:
心不全、心筋症、拘束型心筋症
【背景】拘束型心筋症(RCM)は進行が早く重度の心不全や致死性不整脈を惹起する事が多く、心臓移植を要する場合がある。しかし、臨床症状に乏しい場合が多く、左室駆出率も比較的保たれ、末期に至るまで心拍出量も維持されている場合が多く、移植待機を開始する確たる根拠となる指標は未だに得られていない。当院にて診療している小児RCM患者にて低身長を呈する症例をしばしば経験し、心臓移植後に身長の伸びを認める事が多くみられた。心臓移植前後での身長の伸びを含めて当院での診療経験を報告する。【方法】当院で入院・通院歴のあるRCM患者44例のうち、身長に関する情報があり発症が12歳未満もの24例を対象とした。内訳は女性10名、発症時年齢は1ヶ月-11歳。疾患はRCMが21例、RCMに肥大型心筋症合併が3例。初診時からの5年間及び移植後症例は移植後5年までの身長の標準偏差に関して後方視的に検討した。【結果】心臓移植適応症例で就学時検診までに発症・発覚したのが18例、それ以降に発症したのが4例。内科的治療のみで経過観察している症例は就学時検診での発覚で2例であった。当院初診時の身長の中央値は、移植適応症例の就学まで発症群で-0.96SD、小学以降発症群で-0.48SDだった。移植時の身長は就学まで発症群で-2.87SD、小学以降発症群で-2.54SDと低身長が顕在化していたが、各々の現時点での身長は-0.83SD、-0.78SDと身長のcatch upを示した。移植待機群症例は就学まで発症群のみで低身長の顕在化を認めたが、内科的治療のみの症例は初診時+0.75SD、初診から5年後で-0.65SDと平均内の身長で経過した。【結語】RCM患者においては、その他の明らかな臨床症状に乏しくとも心不全症状により低身長を呈する場合があり、心臓移植待機症例においては各パラメータと合わせて注意深く観察する必要がある。