講演情報

[II-P03-3-06]EXCOR合併症に伴い心機能の部分的回復にて離脱を行った3症例

林田 由伽1, 石田 秀和1, 末廣 友里1, 馬場 達也1, 廣瀬 将樹1, 加藤 温子1, 石井 良1, 渡邉 卓次2, 木戸 高志2, 上野 高義2, 成田 淳1 (1.大阪大学 大学院医学系研究科 小児科学, 2.大阪大学 大学院医学系研究科 外科学講座 心臓血管外科学)
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キーワード:

心筋症、EXCOR、予後

【背景】EXCOR装着を要する拡張型心筋症(DCM)の中には、心機能の劇的な回復に伴ってEXCOR離脱できる症例があり、心機能の完全回復による離脱後症例の中期的予後は良好であることを我々は既に報告してきた。一方で、送脱血管の感染コントロール難渋例や、装着中の成長に伴う脱血管の牽引に対して、心機能の部分的回復のみで離脱を余儀なくされる症例がある。今回、部分的回復で離脱したDCM3症例の経過について報告する。
【症例1】離脱時1歳8か月の女児。1歳0か月時にEXCOR装着するも、脱血管周囲に膿瘍を形成してコントロール不良となり、心カテでのオフテストを実施の後、装着から8か月後に離脱した。心機能は部分的回復のため離脱前から再装着は予想していた。感染巣は改善し、離脱4か月後に心不全再増悪のためEXCOR再装着となった。その後の感染管理は良好で、再装着から2年11か月後に心移植に到達した。
【症例2】離脱時2歳6ヵ月の女児。緻密化障害を伴うDCMに対し生後3か月でEXCOR装着。循環動態の安定に伴い身長が著しく伸び、脱血管が左室心尖を極度に牽引し変形を来した。心機能は部分的回復を認め、オフテスト実施の後、装着から2年2か月後に離脱。離脱前は再装着が予想されていたが、カテコラミン管理で安定し、再装着なく離脱7か月後に心移植に到達した。
【症例3】離脱時3歳11か月の女児。10か月時にEXCOR装着するも、送脱血管感染のコントロールに難渋した。また、成長に伴い脱血管がLVを牽引し、オフテストの後、装着3年1か月後に離脱。左室二腔症を伴っており長期的に離脱が可能かの議論があった。離脱1か月後に心不全再増悪し再装着となった。感染管理は良好となり現在待機中。
【結語】EXCORによる心機能の部分的回復例では、オフテスト中の循環破綻を来さずとも、離脱後早期に再装着を要するケースがある。一方で再装着を免れた症例もあり、その予測は難しい。