講演情報

[II-P03-3-07]乳児心筋症のリバースリモデリングはいつ起こるか?

戸田 紘一1, 杉山 幸輝1, 高尾 浩之1, 湯浅 絵理佳1, 長岡 孝太1, 鍋嶋 泰典1, 小島 拓朗1, 細田 隆介2, 平野 暁教2, 帆足 孝也2, 鈴木 孝明2 (1.埼玉医科大学国際医療センター 小児心臓科, 2.埼玉医科大学国際医療センター 小児心臓外科)
PDFダウンロードPDFダウンロード

キーワード:

リバースリモデリング、乳児心不全、LVEF

【背景】DCMを中心とした乳児心不全症例対し、β遮断薬などの心不全治療薬を用いることでリバースリモデリングを得られる症例がある。悩ましいのは、特に強心薬を要するような乳児期の重症心不全症例で、リバースリモデリングが得られるのか、それともLVAD・移植に進むべきかを判断することである。【目的】リバースリモデリングが得られる症例の特徴やそのタイミングなど不明な点が多く、経験したリバースリモデリングした乳児期の心筋症例の特徴を把握すること。【方法】2015年以降で、乳児期に強心薬を要した心筋疾患による心不全症例に限定した。乳児期以降の心不全例や先天性心疾患は除外した。ここでのリバースリモデリング(=HFrecEF群)の定義は、乳児期診断で、診断時のLVEFが35%未満の心機能低下があり、かつ、その後のLVEFが10%以上の改善もしくはLVEF40%以上に改善とした。加えて、EXCOR含めたVAD装着に至った(乳児期、非離脱例)10例(=LVAD群)と比較検討した。【結果】全心不全症例(全小児期、原因疾患問わない)は計57例(うちLVAD装着症例24例)。そのうち、HFrecEF群は7(男5、女2)例、平均年齢4(1-6)ヶ月、DCM4例、LVNC3例。一方、LVAD群は8(男4、女4)例、平均年齢3.8(2-6)ヶ月、DCM5例、LVNC3例。入院時のBNP値はHFrecEF群1930(23-7536)、LVAD群で3368(923-8265)であった。また、HFrecEF群のΔLVEFは27.6%で、ΔLVEF10%以上になるまでに要した期間は9.4(1-24)ヶ月。ΔLVEF15%以上かつLVEF40%以上に改善した症例は全例7例で、改善を要した期間は22.3(3-54)ヶ月であった。【考察/結論】発症時のBNPのみではリバースリモデリングの予測は難しく、集中治療から離脱困難であれば移植適応を検討すべきである。リバースリモデリングに要する期間には幅があり、clinical inertiaなしに心不全治療薬のup titrationを慎重に続けることが重要である。