講演情報

[II-P03-4-04]Rastelli手術後遠隔期に感染性肺動脈瘤を認めた1例

稲田 雅弘1, 池田 健太郎1, 佐々木 祐登1, 浅見 雄司1, 中島 公子1, 下山 伸哉1, 畑岡 努2, 松永 慶廉2, 岡村 達2, 清水 彰彦3, 橘木 浩平4 (1.群馬県立小児医療センター 循環器科, 2.群馬県立小児医療センター 心臓血管外科, 3.群馬県立小児医療センター 感染症科, 4.群馬県立小児医療センター 集中治療部)
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キーワード:

ファロー四徴症、Rastelli手術、感染性肺動脈瘤

【症例】10歳女児。出生後PAVSDと診断。生後3ヶ月でBTシャント手術、1歳3ヶ月でRastelli手術を施行。術後経過は良好であったが8歳2ヶ月でドロップアウトしていた。2週間前から発熱、1週間前から全身浮腫を認め、呼吸困難を主訴に地域の二次救急病院に救急搬送され、心不全の診断で当院に転院となった。入院時、発熱と多呼吸、酸素化不良を認めPICUに入室。CRP上昇とDIC所見を認め、胸部単純写真で心拡大、両胸水、腹水貯留、心エコーで右心系の拡大と右室流出路狭窄を認めた。造影CTで導管及び右肺動脈に陰影欠損を認め、血液培養からMSSAが発育し、IE及び肺塞栓症と診断した。PIPC/TAZ+VMCで治療開始し、入院7日目に血培陰性化を認めた。CEZ+GM+RFPに変更したが、微熱とCRP弱陽性が遷延。入院35日目に施行した胸部CTでは右肺動脈内血栓の消失を認めたため、導管交換術前評価目的に心臓カテーテル検査を施行した所、右肺動脈瘤を認めた。感染性肺動脈瘤と診断し、保存的治療で改善を待ってから導管交換の方針とした。CCLに変更し保存的治療を継続した所、入院3ヶ月の胸部MRIで肺動脈瘤は縮小、入院5ヶ月時の胸部CTで右肺動脈瘤はほぼ消失したため、入院6ヶ月に導管交換を行なった。術後も抗菌薬の予防投与を行い、手術後1ヶ月後の胸部CTでは右肺動脈瘤は消失。手術後6ヶ月後に施行した心臓カテーテル検査でも肺動脈瘤は認めず、抗菌薬投与を中止した。【考察】小児の感染性肺動脈瘤の報告は少ないが、先天性心疾患を背景とするIEによるものがほとんどで、動脈瘤破裂を認めた報告もある。治療には保存的治療、コイル塞栓術、肺葉切除があるが、今回保存的治療を選択し改善を得られた。右心系のvegitationや塞栓症を発症した場合、感染性肺動脈瘤に注意する必要がある。