講演情報

[II-P03-4-06]体肺側副血管のコイル塞栓後にたこつぼ型心筋症を発症した単心室症例

佐藤 大二郎, 新田 恩, 八木 耕平, 星 菜美子, 大軒 健彦, 川合 英一郎, 小澤 晃 (宮城県立こども病院 循環器科)
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キーワード:

単心室、カテーテル治療、血管塞栓

【背景】たこつぼ型心筋症は身体,精神的ストレスを誘因として発症する心尖部の壁運動低下と心基部の過収縮を特徴とする疾患である.今回,体肺側副血管のコイル塞栓後にたこつぼ型心筋症を発症した単心室症例を経験したので報告する.【症例】右室型単心室,両方向性グレン手術後の2歳男児.全身麻酔下で体肺側副血管7か所を計18本のコイルで塞栓し,手技時間は203分だった.動脈血酸素飽和度は術前後で90.9%から84.7%へ低下した.術後2日目に低酸素血症が進行し,心臓超音波検査で心尖部の無収縮を認めた.12誘導心電図でST上昇,血液検査でトロポニンTおよびBNPの上昇を認めた.同日心臓カテーテル検査を再検し,上行大動脈造影で左右冠動脈に狭窄,閉塞がないことを確認した.翌日心臓MRI検査を施行し,造影遅延像で造影効果を認めなかった.急性冠症候群,急性心筋炎は否定的であり,たこつぼ型心筋症と診断した.心尖部の壁運動は経時的に改善し,コイル塞栓から14日後に退院した.1か月後に心臓MRI検査を再検し,心尖部の壁運動は改善していた.手術可能と判断し,コイル塞栓から4か月後にフォンタン手術を施行した.【結語】コイル塞栓が原因と考えられるたこつぼ型心筋症の一例を経験した.小児,特に単心室例でたこつぼ型心筋症を発症するのは極めて稀だが鑑別に含めることが肝要である.本症例は早期に改善し,フォンタン手術を行うことができた.