講演情報
[II-P03-5-01]経皮的肺動脈弁留置術の適応決定における心臓MRI解析の施設間誤差の検討
○眞田 和哉, 佐藤 慶介, 陳 又豪, 金 成海, 石垣 瑞彦, 森 秀洋, 渋谷 茜, 沼田 寛, 満下 紀恵, 新居 正基, 田中 靖彦 (静岡県立こども病院 循環器科)
キーワード:
心臓MRI、TPVI、右室容量
【背景】経皮的肺動脈弁留置術(TPVI)は、ファロー四徴術後などの右室流出路機能不全(RVOTD)に対する治療法として本邦でも急速に普及している。適応決定には心臓MRI(CMR)による右室容量解析がゴールドスタンダードである。撮像方法や計測手法の違いにより施設間でばらつきが生じることが指摘されており、標準化の必要性が高まっている。【目的】TPVI適応評価目的に紹介されたRVOTDの患者において、他施設で撮像したCMRの他施設と当院の解析値を比較し、施設間誤差の実態を明らかにし、標準化に向けた課題を抽出する。【対象】2022年から2024年に当院へ紹介されたRVOTD10例(女性7例、男性3例)が対象。年齢は中央値30.5歳、診断はファロー四徴 8例、肺動脈狭窄 2例。【方法】診療録を用いた後方視的検討を行った。解析項目は右室の拡張末期容量係数(RVEDVI)、収縮末期容量係数(RVESVI)、駆出率(RVEF)、一回拍出量(RVSV)、位相差コントラスト(PC)法にて計測した肺動脈順行血流量(PA forward flow)、肺動脈逆流率(PRF)とした。それぞれ平均値で示し、誤差を比較した。【結果】RVEDVIは当院171.3 mL/m^2、他施設142.0mL/m^2であり、平均差29.3 mL/m^2(標準誤差14.4、P=0.07)。誤差10%超は4例、5%超は6例。RVESVIは当院102.1 mL/m^2、他施設94.0 mL/m^2であり、平均差8.2 mL/m^2(標準誤差10.5、P=0.45)。誤差10%超は5例、5%超は6例。RVEFは当院42.6%、他施設35.8%であり、平均差6.8%(標準誤差2.6、P=0.027)。誤差10%超は7例、5%超は9例。PC法の欠測が1例、PRFは当院28.0%、他施設30.9%であり、平均差2.9%(標準誤差4.2、P=0.51)。誤差10%超は5例だった。他施設ではRVSVがPA forward flowを下回る症例が5例あった。【結論】他施設ではRVEDVI、RVEFがそれぞれ小さく計測される傾向にあった。施設間のCMRによる右室容量解析には無視できない誤差が存在し、撮像および解析方法の標準化と精度向上が求められる。