講演情報

[II-P03-5-02]ファロー四徴症術後患者における右室内運動エネルギー解析

岡 秀治, 柴垣 有希, 今西 梨菜, 中右 弘一 (旭川医科大学 小児科学講座)
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キーワード:

4D flow MRI、心室内血流、ファロー四徴症

【背景】4D flow MRIを用いた心室内血流解析は右心系にも応用可能であり、ファロー四徴症術後(rTOF)に重度の肺動脈弁逆流(PR)を認める症例においては、拡張期の右室運動エネルギー(KE)上昇が発生する。しかし、このKEの変化が心室内血流成分のいずれによるものかについてはよくわかっていない。【対象と方法】当院で4D flow MRIを撮影したrTOF 5名を対象にした。右室の心室内血流解析からKEを算出し、さらにKEが心室内血流の四成分(Direct flow、Delayed ejection flow、Retained inflow、Residual volume)にどういった割合で生じているのかを求め、比較検討した。【結果・考察】(i)36歳、男性。PR 52%、RVEDVI 176.1mL/m2、RVEF 37.8%。拡張期の最大KEはResidual volume(2676.7μJ/m2)。(ii)28歳、女性。PR 43%、RVEDVI 164mL/m2、RVEF 40.8%。拡張期の最大KEはDirect flow(1793.4μJ/m2)。(iii)17歳、男性。PR 58%、RVEDVI 165.2mL/m2、RVEF 40.4%。拡張期の最大KEはDirect flow(2805.2μJ/m2)。(iv)26歳、女性。PR 33%、RVEDVI 130mL/m2、RVEF 44.9%。拡張期の最大KEはDirect flow(531.7μJ/m2)。(v)12歳、男性。PR 35%、RVEDVI 97.8mL/m2、RVEF 58.8%。拡張期の最大KEはResidual volume(825.1μJ/m2)。また、(ii)と(iii)では、Retained inflowもDirect flowに近い値を示していた。PRの影響による拡張期KEの上昇は、Residual volumeだけではなく、Direct flowが関与している症例がいることがわかり、いくつかのパターンが存在していた。【結論】右室内KE解析は、PRが右室に与えている経時的な影響がわかる可能性があり、再検査のタイミングなどに有益な情報を与えてくれるかもしれない。