講演情報
[II-P03-5-06]パッチワーク法: 自由呼吸下MOLLI画像から妥当性のあるT1マッピングを行うための手法の考案
○佐藤 慶介, 陳 又豪, 眞田 和哉, 渋谷 茜, 沼田 寛, 石垣 瑞彦, 芳本 潤, 満下 紀恵, 金 成海, 新居 正基, 田中 靖彦 (静岡県立こども病院 循環器科)
キーワード:
心臓MRI、T1マッピング、MOLLI法
【背景】T1マッピングは心筋断面の任意の部位におけるT1値を求めることで,その任意断面における心筋性状を探る手法であり,成人領域においては心筋疾患の診断や評価に使用されている.しかしながら,T1マッピングを行うためには,部位毎におけるT1回復曲線を作成せねばならず,MOLLI画像の撮影において息止めを要する.このため,小児においては普及が進んでいない.そのなかで,複数回の自由呼吸下に撮影したMOLLI画像から呼吸時相が同じ画像をつなぎ合わせてT1マッピングを行うパッチワーク法を考案した.【目的】「パッチワーク法」を用いて行ったT1マッピングに妥当性があるかどうかを検討すること.【対象と方法】2024年1月から2024年12月までにMOLLI画像を息止め撮影と自由呼吸撮影との両者で行うことができた26例(20.7±7.9歳)を対象とした.Ingenia 1.5T(Philips社製)を使用し,左室基部・中間部・心尖部の3つの断面で息止めでの撮影を行い,引き続き3回の自由呼吸下での撮影を行った.息止め撮影した画像は通常通り解析し,自由呼吸下で撮影した画像については3組の画像から同じ呼吸相を抽出して1組のパッチワークMOLLI画像を作成し解析を行った.その後,左室基部6部位・中間部6部位・心尖部4部位の計16部位におけるT1値を通常画像とパッチワークMOLLI画像との間で比較した.【結果】T1値において2群間の有意な差はなかった(p=0.73),16部位におけるT1値も2群間に有意な差はなかった(p=0.98-0.07).【結語】「パッチワーク法」を用いることで,自由呼吸下に撮影したMOLLI画像から妥当性のあるT1マッピングが可能である.これにより,MOLLI画像の息止め撮影が困難であった小児のみならず成人においても,広くT1マッピングの恩恵が得られる.