講演情報
[II-P03-5-10]2DPCにおける目的外血管の流量測定の精度に関する検討
○浦邊 裕亮1, 佐藤 正規2, 坂井 拓1, 永田 貴紀1, 水元 貴浩1, 山崎 宏枝1, 松岡 政博1 (1.福岡市立こども病院 放射線部, 2.福岡市立こども病院 循環器科)
キーワード:
心臓MRI、2DPC、精度検証
【背景】2DPCはQp/Qsや逆流率がわかり, 小児心臓MRIには欠かせないシーケンスである. しかし断面設定を失敗した場合に加え, 2DPCの誤差の要因の多さから, 目的の断面が得られても正しい流量が得られない場合がある. その際, 別の血管を狙った断面に目的血管が写っていれば, その断面を利用して計測を行うこともある. 特にAAoとSVCは位置や角度が近く断面の共有を行いやすいが, その精度は保証出来ていない.【目的】AAoを狙った断面でのAAo/SVCとSVCを狙った断面でのAAo/SVCの流量の精度に信頼性があるか検証を行った.【方法】2024年1月から6月までに当院で心臓MRIを行った全127例のうち, AAo断面にSVCが写っている症例, SVC断面にAAoが写っている症例, またはその両方を満たす97例を対象にAAo断面でのAAoとSVC断面でのAAo, SVC断面でのSVCとAAo断面でのSVCの流量比較を行った.【結果】比較できた症例はAAoが76例, SVCが70例だった. 比較できた症例の平均誤差はAAoでおよそ5.1%, SVCはおよそ7.39%であった. 誤差10%未満の症例はAAoが69例, SVCは60例であった. AAoの誤差10%以上の症例はLVからAAoを長軸気味に撮ってある症例, ARがある症例, 2歳以下の体格の小さな症例などがあった. SVCの誤差10%以上の10症例中9症例はRAやPAに流入した後の血流を計測したものであり, RAやPAに流入したものを除いた場合, SVCを比較できた症例は54例まで減少するが, 平均誤差は4.61%になった.【考察】AAoの断面にLVが入っていた場合, 断面外からAAoに流入する血流があるため誤差が大きくなったと考える. またARがある症例は乱流等により正しい計測が出来なかった可能性があり, 体格が小さい場合はパーシャルボリュームの影響が強く出た可能性が高い. SVCはRAやPAに流入後の断面では断面積, 速度ともに精度が落ちたため 誤差が大きくなったと思われる.【結論】AAo, SVCはROIの撮れる場合は, 流量誤差は許容できる範囲である場合が多い.