講演情報
[II-PD6-1]MRIにおけるIVCフローパターンとPVR前後のRVEDVI改善率
○朱 逸清, 松本 一希, 佐藤 純, 小山 智史, 吉井 公浩, 大島 康徳, 吉田 修一朗, 西川 浩 (中京こどもハートセンター)
キーワード:
MRI、右室評価、ファロー
【背景】TOFの遺残PRに対する再介入の判断には、MRIによるPR逆流率やRVEDVI評価が必要であり、その中でIVCのQflowパターンが症例によって変化することに着目し、肺動脈弁置換術(PVR)患者における介入前後での右心評価とIVCのQflowパターンとの相関について検討した。【方法】当院で2018年1月から2024年12月までにPVRを施行した48症例のうち、PVR前後でMRI評価を行った症例は10例で、これらについて後方視的に検討した。RVEDVIの変化率をΔRVEDVI=(術前-術後RVEDVI)/術前RVEDVIと定義し、これをIVCの逆流率(IVCF)及びIVCの最低流量から最大流量へ変化する傾き(IVCI)と比較した。【結果】症例の年齢は6から41歳(中央値26歳)、PA/IVS1例を除いて全てTOF症例で、そのうち1例は手術適応がPSによるものであったが、他は全てPRによる右室拡大に対する手術適応であった。ΔRVEDVIは中央値が0.41でPS例を除いた全例で介入後RVEDVIが改善した。ΔRVEDVIとIVCF、及びΔRVEDVIとIVCIはそれぞれ比較的相関関係が認められた(相関係数-0.70及び-0.60)。年齢、右室切開回数、RVEFとIVCのQFLOWパターンは相関を認めなかった。BNPとIVCのQflowパターンは相関を認めなかったものの、当院の先天性心疾患二心室修復例19例における検討では比較的相関関係を認めており(相関係数0.60)、症例数不足による影響と考えた。【考察】IVCFとΔRVEDVIの負の相関は、IVC還流の効率と右室予備能の関係を反映していると推測する。一方でIVCFが高い症例はIVCIも高くなる傾向にあり、故にIVCIとΔRVEDVIも負の相関になったと思われる。AlexanderらはMRIに加え、エコーでのIVC評価も組み合わせる事で、よりTOF患者の重症度や運動耐容能を把握できると述べているが、MRIにおけるIVC評価もTOF患者の循環動態をより正しく評価できる一助となる可能性がある。【結語】IVCのQflowパターンはPVR症例の右心機能を反映しうる可能性があり、データの蓄積が必要である。