講演情報

[II-PD6-2]ファロー四徴症術後遠隔期の再手術におけるcomposite graftの有用性-TPVI時代のSPVI-

富永 佑児, 今井 健太, 小森 元貴, 柴垣 圭佑, 沓澤 梨恵子, 川合 祥太, 中溝 雅也, 盤井 成光 (国立循環器病研究センター 小児心臓外科)
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キーワード:

ファロー四徴症、右室流出路再建、肺動脈弁置換術

【背景】当院では2023年から経カテーテル肺動脈弁留置術(TPVI)を施行しており、ファロー四徴症(TOF)術後遠隔期の再右室流出路再建(reRVOTR)の外科への紹介症例の変化がある。右室流出路後面に生体弁を縫着後に前面にパッチを縫着する典型的な外科的肺動脈弁置換術(SPVR)の症例は減少し、右室流出路の異種心膜の石灰化が著明で後壁に生体弁が縫着できない症例や、冠動脈走行が近いためにTPVIやその後のTPV in TPVを考えた際に冠動脈圧迫が予見される症例の紹介が増えている。今回、TPVI開始後の当院でのSPVRについて報告する。【方法】2023年から2024年に当院でTOF術後にreRVOTRを行った16歳以上の症例は44例(TPVI30例、SPVR14例)。SPVRの適応は[1]PVR以外の併施手術を要する、[2]解剖学的にTPVIが困難な症例、[3]異種心膜によりRVOTの石灰化が著明でRVOT後壁に生体弁を縫着出来ない症例、[4]冠動脈圧迫が予見される症例としている。当院でのこの2年間のSPVR症例の適応、術式を検討した。【結果】SPVR症例の適応の内訳は、[1]5例(36%: 肺動脈形成3例、RVOT ablation 1例、PAPVC repair 1例)、[2]3例(21%: LPA stentの突出1例,その他2例)で通常のPVRを施行した。[3]2例(14%)、[4]4例(29%)の6例(43%)でcomposite graftを用いたSPVRを要した。[3]石灰化著明症例は20mm程度の短い人工血管に生体弁を内挿したshort composite graftを肺動脈分岐部手前に周状に吻合し、RVOT前面全体にパッチを被覆縫着した。[4] composite graftを左側に回るように角度を調整し、肺動脈分岐部手前と右室切開口に吻合し、冠動脈とRVOTの距離を確保する形でのSPVRを行った。術後の造影CTで冠動脈との距離が拡大していることを確認した。全例外来で経過良好である。【まとめ】TPVI時代には複雑な手術症例が増えている。高度石灰化右室流出路に対する再建、冠動脈走行異常症例にはcomposite graftを用いたreRVOTRも有用である。