講演情報

[II-PD8-2]成人先天性心疾患患者における右室後負荷の管理 ~原因は単一ではない~

岩朝 徹1, 藤本 一途1,2, 村山 友梨1, 坂口 平馬1, 森 有希1,2, 大内 秀雄1,2, 黒嵜 健一1 (1.国立循環器病研究センター 小児循環器内科, 2.国立循環器病研究センター 成人先天性心疾患センター)
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キーワード:

肺高血圧、右室、右心不全

「右室は前負荷に強く、後負荷に弱い」と正常心の右室では言われている。しかし、構造が特殊であったり生下時や小児期から何らかの負荷に順応し続けてきた成人先天性心疾患の肺心室右室は必ずしもそうではない。かなりの後負荷(右室圧上昇)に耐えたり、小児期なら問題にならないような前負荷(容量負荷)で心不全を生じる。 右室の後負荷は右室圧の上昇を来す負荷であり、右室~肺動脈にかけての狭窄や肺血管抵抗の上昇により生じる。これに対しては狭窄の解除・改善や、肺血管拡張薬が使われるが、成人先天性心疾患患者においてはこれらが混在して複雑な病態を生じている場合がある。実際、当科の成人先天性心疾患に伴う肺高血圧患者22名では、混合性の呼吸性障害(ニース分類3群PH)を生じていたり、左心系の問題(2群)、肺動脈狭窄に伴う狭窄のない部位のsegmental PH(4群)など、1群(先天性心疾患に伴うPAH)、5群(複雑先天性心疾患)に留まらない病態が横たわっている。単純に狭い部分を拡張したり、肺血管拡張薬を使うのみの治療では、病態は改善しても患者さんの病状(感じる症状・所見)を良く出来無いことがある。どちらかというと患者毎に合わせたオーダーメイド治療になってくる。 今回当科で診療している右室圧上昇を伴う成人先天性心疾患患者に対して評価し、考え、行った後負荷軽減の方策について数例を例示して概説したい。また、心疾患の治療時機を逸した先天性心疾患に伴う肺高血圧患者に対するエポプロステノール投与について、いささかの問題について提起したい。