講演情報
[II-PD8-4]右心系弁疾患の外科治療
○笠原 真悟, 徳田 雄平, 清水 春奈, 小松 弘明, 門脇 幸子, 小林 純子, 黒子 洋介, 小谷 恭弘 (岡山大学心臓血管外科)
キーワード:
右心系弁膜症、エブスタイン病、コーン手術
(はじめに)右心系の弁膜症である肺動脈弁や三尖弁はsilent valveと言われ、左心系弁疾患に比べ重要視されていなかった。これは左心系の弁膜症や、心筋不全に伴う二次性に生じる病態であることが多いため、適切な治療によって右心系弁膜疾患は手術操作が必要ないとされていたからである。さらに右心室負荷の悪影響は、左心室に比較して症状も乏しいため右心不全症状としての診断は、初期段階では確立したガイドラインが乏しかった。しかしながら心臓手術の成績が安定し、長期成績が明らかになるに連れて、右室不全は術後のQOLやその生命予後まで悪影響が示されるようになった。肺高血圧症とは無関係に三尖弁閉鎖不全(TR)は単独でも生命予後を悪化させる原因であることが報告されたこともあり、TRに対する治療の重要性の認識が高まってきた。今回、右室や肺動脈、三尖弁を左室や大動脈弁、僧帽弁と構造異常を対比しながら、肺動脈弁治療と一次性三尖弁異常の代表疾患であるエブスタイン病の治療につき概説する。(肺動脈弁治療)右心不全の診断のもと、肺動脈弁治療の適切な時期を考察する。カテーテルによる肺動脈弁挿入術が保険適応となり、既存の外科的は動脈弁置換術に加えて適応の範囲が拡大した。今後適切な時期の判断のもと、life-long managementが重要である。(エブスタイン病における三尖弁手術)コーン手術の出現により、不全右室への三尖弁形成術の適応拡大や成功率が向上した。今後は適切な手術時期の再考が必要であるが、当院の経験では30歳未満での手術では長期にわたる drug freeの状態を維持できる可能性が高い。(まとめ)右心系の外科手術においては、適切な右心不全の診断のもと、早期治療がlife-long manegementにおいて重要である