講演情報

[II-SY6-1]こどもの心腎連関over view

奥田 雄介 (北里大学 医学部 小児科学)
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キーワード:

急性腎障害、慢性腎臓病、集中治療

心腎連関(cardiorenal syndrome, CRS)は、心疾患と腎疾患が相互に影響を及ぼし合う病態であり、成人では広く認識されているが、小児における知見は限られている。CRSは、端的には原因が心臓か腎臓か、急性か慢性かの組み合わせによって病型分類される。すなわち心疾患が原因で腎機能に影響を及ぼすものがtype 1 (急性) およびtype 2 (慢性)、腎疾患が原因で心血管に影響を及ぼすものがtype 3 (急性) およびtype 4 (慢性) に分類される。これに加えて全身疾患が根底にあって心、腎両方の機能に影響するものがタイプ5に分類される。しかし、心と腎が明確に原因と結果に分かれるとは限らず、経過の中でお互いが影響して(まさに「連関」である)病態が進行することもしばしばである。治療選択の観点でも、分類が治療選択に必ずしも直結しない。このような状況から、従来の分類よりもCRSの病態に焦点を当てた診療が重視されつつある。治療薬においては、RAS阻害薬やSGLT2阻害薬など心、腎の双方に保護的に作用する薬剤が特に成人領域での普及がめざましく、CRS診断と適切な病態把握によって予後の改善は大いに期待できる。とはいえ、小児CRSは未解明な領域が多い。現状では成人の知見を参考にせざるを得ないが、今後は先天性心疾患や遺伝性腎疾患など小児特有の病態に基づいた研究が求められる。