講演情報

[III-CPD6-1]学校教諭と連携し、いのちを学ぶー小児循環器医の立場から

内田 敬子 (東京医科大学 細胞生理学分野)
PDFダウンロードPDFダウンロード

キーワード:

学校、連携、いのちの授業

某小学校では、すでに数年前から小学6年生対象に海外渡航心臓移植をテーマにした研究授業が養護教諭を中心に研究・実施されてきた。演者は、PH Japan projectならびに学会と教育の連携委員会の活動をきっかけに、2022年度にはじめて本パッケージ型授業の1コマのゲストティーチャーとして参加し、その後毎年参加させていただいている。理科で「人の体のしくみと働き」「人の死の判断の条件」を複数コマにわたって深く学び、養護教諭による総合学習「Sちゃんとわたしたち:心臓病の少女『Sちゃん』」として、自分と同い年の心臓病のSちゃんについて特に心臓病の詳細や闘病生活について事前学習がなされていた。「『Sちゃんの闘病』~どうしてアメリカで移植手術を受けたのか~」というタイトルの授業において、養護教諭が公開されている情報をもとに渡航の模様や術前術後の内容を中止に授業を行い、途中で、「なぜ渡米しなければならなかったか」という問いに対して、演者が子ども達からの回答に対して一つ一つ深堀りしながら日本の移植医療の現状と問題点を説明した。また、多様な考えをより実感してもらうために、脳死となり臓器提供をしたドナーの家族の投書と臓器提供を反対する家族の投書の両者を紹介し、ディスカッションした。小学生に対してこれだけの深い学びを展開することが可能となったのは、「海外渡航心臓移植」や「脳死」の理解をもとに「いのちを考える」という一つの目標に向かって多教科が連携・協働したが理由に他ならない。小学6年生においても、養護教諭や理科教諭をはじめ学校教諭ともに作る丁寧な授業計画によって、「海外渡航心臓移植」や「脳死」といった専門性の高い内容を理解し、いのちを深く考える機会を提供する可能性を実感した。本講演では実践内容を具体的に紹介する。