講演情報
[III-CPD7-3]当院における若手小児循環器医の勤務状況
○築野 一馬, 星野 健司, 中村 佑輔, 大森 紹玄, 増田 詩央, 百木 恒太, 真船 亮, 河内 貞貴 (埼玉県立小児医療センター 循環器科)
キーワード:
働き方改革、若手小児循環器科医、時間外労働
2024年4月より働き方改革関連法案が医師にも適応となり、医師の時間外労働時間が制限されている。働き方改革の目的は、医師の健康を守り、医療安全の確保と質の高い医療を効率的に提供することとされている。しかし専門的な管理や緊急対応が必要とされる診療科はタスクシフト・タスクシェアが困難であり、小児循環器領域はそのひとつと言える。また、若手医師は専門知識や技能の習得のためのトレーニングも必要であり、業務と自己研鑽がオーバーラップしていることも労働時間が長くなる要因のひとつである。当院の循環器診療としては、年間で心臓手術は約250件、カテーテル検査および治療は約300件を行なっている。PICU/NICUはclosed PICU/NICUであり、術後管理や新生児の全身管理は集中治療科/新生児科に依頼しており、タスクシフトが行えている。サブスペシャリティの専門家が揃っているため心疾患以外の合併症に関しての相談も行いやすく、働き方改革が進めやすい環境と考えられる。しかし、循環器科若手医師の平均年間時間外労働時間は784時間(令和4年度)、926時間(令和5年度)、979時間(令和6年度)であり、A水準の上限を上回る結果となっている。一方で全診療科の平均年間時間外労働時間は520時間(令和4年度)、493時間(令和5年度)、468時間(令和6年度)と循環器科と大きな開離があった。若手医師は入院患者の病棟管理や救急外来対応を主に行なっているが、専門的な知識が必要な業務もあれば、一般小児科として対応可能な業務もあるのが現状である。医療の質を落とさずに労働時間を短縮するには、業務の整理・効率化や患者教育、院内・院外へのタスクシフトを励行し、働きやすい労働環境を整備することが重要と考えられる。おそらく多くの施設で同様の問題を抱えていると考えられ、業務内容や労働環境の問題点や解決に向けた改善案について協議したい。