講演情報

[III-CPD7-4]小児循環器医が総合ICUで働くという選択肢

額賀 俊介1, 沼野 藤人2, 水流 宏文2, 馬場 恵史2, 塚田 正範2, 阿部 忠朗2, 松井 亨1, 杉本 愛3, 渡邉 マヤ3, 白石 修一3, 齋藤 昭彦2 (1.新潟大学医歯学総合病院 高次救命災害治療センター, 2.新潟大学大学院医歯学総合研究科 小児科学分野, 3.新潟大学大学院医歯学総合研究科 呼吸循環外科学分野)
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キーワード:

小児循環器、集中治療、働き方改革

小児循環器診療は多岐に渡るが、特に集中治療管理における医師の負担は大きい。全国的にはPICUの整備が進み、小児集中治療医が管理を担うことで、小児循環器医や心臓血管外科医の負担は軽減されつつある。しかし、地方ではPICUのない地域も多く、成人主体の総合ICUで小児循環器患者が管理され、その専門性の高さから、小児循環器医や心臓血管外科医の負担が続いている。このような背景から、当院では2019年より小児科専門医・小児循環器専門医からなる小児集中治療グループを総合ICU内に配置し、小児循環器チームと協力して診療に当たっている。その結果、小児循環器医や心臓血管外科医の負担は一部軽減され、成人集中治療医や多職種との連携も強化され、小児循環器診療体制の向上につながっている。課題としては、常時対応可能な小児集中治療グループの人員配置は困難であり十分な負担軽減には至っていないこと、小児科医が成人中心の総合ICUで勤務する際の心理的負担、さらには小児と成人患者間でICU病床利用の競合が生じることなどが挙げられる。一方、小児集中治療医にとっては、地方において重症患者の絶対数が少ない小児だけでなく、成人疾患の管理に加わることで、機械的循環補助を含めた成人重症患者管理を多く経験できることなど、利点も大きい。このような勤務スタイルを選ぶ医師は全国的にも少ないと推測されるが、地方における小児循環器診療を維持・発展させるためには、多様な勤務形態を模索し、それを受け入れる柔軟な組織作りが重要である。