講演情報

[III-CSY2-2]育成プログラム開始から1年:課題と更なる発展に向けた取り組み

松久 弘典1, 平野 暁教2, 犬塚 亮3, 小谷 恭弘3,4, 小田 晋一郎5, 本宮 久之5, 伊藤 貴弘6, 落合 由恵7, 瀧聞 浄宏8, 中野 俊秀9 (1.兵庫県立こども病院 心臓血管外科, 2.埼玉医科大学国際医療センター 小児心臓外科, 3.東京大学 小児科, 4.岡山大学 心臓血管外科, 5.京都府立医科大学 小児心臓血管外科, 6.千葉県こども病院 心臓血管外科, 7.JCHO九州病院 心臓血管外科, 8.長野県立こども病院 循環器小児科, 9.福岡市立こども病院 心臓血管外科)
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キーワード:

次世代育成、小児心臓血管外科医生涯育成プログラム、システム構築

小児心臓血管外科医生涯育成プログラムは2024年4月より修練医受付を開始し、2025年3月時点で77名の修練医が登録され、各施設でプログラムに沿った修練が実施されている。この1年の課題と取り組みについて報告する。【修練医数の確保】受付開始後半年での修練医申請は46名と当初の予想を下回っていた。定期モニタリング時に各施設へのアンケートを行い、各施設への周知を徹底すると共に、参加を躊躇する要因について意見を頂き、実施要項の改定を行う事で主に中堅医師の登録増加に繋がった。【実施要項改定】アンケート結果を基に主にレベル対象術式、クオリティー評価基準の見直しを行った。また、当初の手術実績のカウントがAdvanced-2などの中堅医師にとって厳しく、世代によってプログラムから取り残される外科医が発生する事のないよう、実績カウント法の緩和を行った。【電子システム導入】本プログラムの重点事業である定期モニタリングは、修練状況の把握だけでなく、プログラムの課題を遅滞なく収集できる反面、業務量は膨大であり、事務局機能の逼迫が懸念される。この点については、あけみちゃん基金の援助による電子システム導入により、負担の大幅な軽減が見込まれ、2026年春のシステム稼働を目標としてシステム構築を進めている。本育成プログラムは、当初考え得る理想の修練環境を目指して実施要項の策定を行ったが、プログラム開始と共に様々な問題点が浮き彫りとなり、実施要項改定を含めた修練環境整備の1年であった。ようやく本題である修練の質を求める段階となり、プログラムを介した修練情報の共有や、レベルに応じた人事交流など、施設の垣根を超えた外科医育成のプラットフォームとして発展する事を願う。