講演情報

[III-CSY2-6]施設集約化のシミュレーション 何がどう変わる?

立森 久照1, 中野 俊秀2, 平田 康隆3, 瀧聞 浄宏4, 平野 暁教5 (1.慶應義塾大学 医学部 医療政策・管理学教室, 2.福岡市立こども病院 心臓血管外科, 3.国立成育医療研究センター 心臓血管外科, 4.長野県立こども病院 循環器小児科, 5.埼玉医大国際医療センター 小児心臓血管外科)
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キーワード:

先天性心疾患手術、施設集約化、シミュレーション研究

先天性心疾患(CHD)手術における地域拠点化は、医療資源の最適配分と質の向上を目指す上で重要な課題である。本研究では、日本小児循環器学会,日本心臓血管外科学会,日本胸部外科学会の提言作成合同委員会による「先天性心疾患の手術を行う施設の集約化(地域拠点化)に関する提言」およびその提言を踏まえた日本小児循環器学会の次世代育成委員会の小児心臓手術の地域拠点化プロジェクトでのこれまでの検討に基づき、CHD手術施設の集約化が手術成績に及ぼす影響をシミュレーションにより検証する。先行研究による施設規模と死亡率の解析等(Yoshimura, et al., 2022, doi: 10.1016/j.jtcvs.2022.06.009)にも基づき、集約化によってどの疾患群でどの程度の手術成績に変化が見込まれるかを定量的に評価することを目的とする。
具体的には、日本小児循環器学会作成の「育成プログラム」における術式レベル(Basic, Advanced1-3)を用いて、各施設の手術症例を分類し、各施設の平均年間実施症例数と周術期死亡などの関係性を分析する。平均年間実施症例数により施設を分類し,その分類ごとに年平均手術症例数、術式レベルごとの症例数の分布、および術式レベルごとの周術期死亡率(90日または在院死亡)を示す。
また,上記の解析から得られた症例数と周術期死亡率の関係における傾向利用して、複数のシナリオ(例えば、特定の術式レベルの症例を一定数の拠点施設に集約する等)を設定し、集約化による周術期死亡の観点からの手術成績の変化についての予備的なシミュレーションを実施し、その結果を提示する。具体的には、集約化によって全体の死亡率がどの程度変化する可能性があるか、あるいは特定の術式レベルにおいてその変化に異なる影響が生じるかなどを検討する。