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[III-CSY4-10]Fontan術後の門脈血行動態に関しての研究

宗内 淳, 杉谷 雄一郎 (JCHO九州病院小児科)
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【目的】肝循環とFALDの病像との関連を明らかにする。
【方法】Fonan術後患者において位相差コントラスト法により測定した心拍出量、総肝血流量(肝静脈血流量)、門脈血流量と、プリモビスト造影MRIによる造影前後の信号強度変化率(SI relative index)、肝造影効果率(肝信号/腸腰筋信号比)および肝結節病変の有無を比較検討した。
【結果】対象62例(男41)において年齢16(13–24)歳、フォンタン術後12(9–20)年であった。血小板18(15–28)×104/μL、γGTP54(35–92)IU/L、IV型コラーゲン 219(163–295)ng/mL、中心静脈圧10(9–14)mmHg、心係数2.80(2.26–3.44)L/分/m2、門脈血流量0.38(0.28–0.58)L/分/m2、門脈/総肝血流比86(56–143)%、門脈/心拍出量血流比12(10–17)%であった。また、プリモビスト造影前後の信号強度変化率0.61(0.44–0.79)、肝造影効果率1.4(1.3–1.5)であった。信号強度変化率および造影効果率は血小板数、γGTP、IV型コラーゲン、中心静脈圧、心係数、門脈血流量、門脈/総肝血流比、門脈/心拍出量血流比のいずれとも関連がなかった。結節・腫瘍病変合併16例(26%)において、門脈血流量(0.27[0.19–0.43] vs. 0.39[0.30–0.49]L/分/m2、P=0.02)および門脈/総肝血流比(53[42–61] vs. 93[68–173]%、P<0.01)、門脈/心拍出量血流比(11[6–12] vs. 14[11–18]%、P=0.01) が有意に低値であった。中心静脈圧、心係数、血小板数、γGTP、IV型コラーゲン、中心静脈圧、造影前後信号強度変化率、肝造影効果率は2群間において有意差はなかった。
【考察】肝線維化と血行動態に関連はなかった。しかし結節・腫瘍病変の発生には門脈血流量減少が関連しており肝動脈緩衝反応がその一翼を担っている可能性が示唆された。