講演情報

[III-CSY4-11]本邦における冠動脈対側冠動脈洞の実態調査

須田 憲治1, 山川 佑紀1, 新居 正基2, 中川 直美3, 池田 健太郎4, 上田 知実5, 廣野 恵一6, 鈴木 浩之7, 倉岡 彩子8, 黒嵜 健一9 (1.久留米大学 医学部 小児科, 2.静岡県立こども病院 循環器科, 3.広島市立広島市民病院 循環器小児科, 4.群馬県立小児医療センター 循環器科, 5.榊原記念病医院 小児循環器科, 6.富山大学 医学部 小児科, 7.岡山大学 医学部 心臓血管外科, 8.福岡市立こども病院 循環器科, 9.国立循環器研究センター 小児循環器科)
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キーワード:

冠動脈大動脈起始部異常、臨床像、予後

【目的】 冠動脈大動脈起始部異常(AAOCA)はまれな疾患であるが、さまざまな症状を呈する小児の心臓突然死の最も重要な原因の一つである。AAOCAの臨床像、経過および転帰を日本全国調査に基づき明らかにする。【方法】2021年の日本全国先天性冠動脈異常症調査によると、本研究への参加に同意した38施設から20歳未満で診断されたAAOCAが報告された。診断、診断方法、臨床像、臨床経過、転帰を含む質問票を送付し、データを収集した。【結果】CT(45%)、冠動脈造影(22%)、心エコー(20%)により、左冠動脈尖からのRCA(Rt-AAOCA)70例、右冠動脈尖からのLCA(Lt-AAOCA)30例、その他7例のAAOCA患者107例を同定した。そのうち42例が12.6±3.8歳で胸痛(n=18)または心イベント(n=24)、失神、心停止を呈し、20例がLt-AAOCA、17例がRt-AAOCA、その他5例と診断された。短いインターバルをおいて、31例(74%)が13.1±4.0歳で外科的介入を受けた。すべての症候性患者は17.1±6.2歳まで心イベントを起こすことなく生存した。逆に、5.3±4.1歳で病院を訪れた65人の無症状患者は、53人がRt-AAOCA、10人がLt-AAOCA、2人がその他と診断された。そのうち30例(46%)は川崎病の臨床管理で発見され、残りは心臓検診で発見された。これらの無症候性患者のうち、6例[虚血徴候を呈した1例(Rt-AAOCA)、心筋負荷試験を行わなかった5例(Lt-AAOCA4例、Rt-AAOCA1例)]が外科的介入を受けた。すべての無症候性患者は心イベントなしに9.3±4.7歳まで生存した。【結論 】AAOCA患者の多くは学童期に心臓症状を呈し、適時に外科的介入を受け、良好な転帰をたどった。一方、無症状の患者はより早期に診断され、川崎病の臨床管理は日本における重要な機会であった。これらの無症候性患者の管理に関する実用的なガイドラインを確立する必要がある。