講演情報

[III-CSY4-13]心臓シミュレーター“ped UT-Heart”の開発とその応用に関する研究

白石 公1, 黒嵜 健一1, 磐井 成光2, 帆足 孝也3, 坂本 喜三郎4, 小田 晋一郎5, 笠原 真悟6, 平田 康隆7, 新川 武史8, 芳村 直樹9, 久田 俊明10 (1.国立循環器病研究センター 小児循環器内科, 2.国立循環器病研究センター 小児心臓外科, 3.埼玉医科大学国際医療センター 小児心臓血管外科, 4.静岡県立こども病院 心臓血管外科, 5.京都府立医科大学 心臓血管外科, 6.岡山大学学術研究院医歯薬学領域 心臓血管外科, 7.国立成育医療センター 心臓血管外科, 8.東京女子医科大学 心臓血管外科, 9.富山大学医学部 心臓血管外科, 10.東京大学大学院新領域創成科学研究科)
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キーワード:

心臓シミュレータ、医師主導治験、医療機器承認

“UT-Heart”は東京大学で開発された心臓シミュレータであり、患者の心臓を、分子・細胞機能に基づいて収縮弛緩から血流動態までコンピュータ上で忠実に再現することができる。本研究ではこの"UT-Heart"を、小児先天性心疾患の血行動態を解析する小児用心臓シミュレータ“ped UT-Heart”として改良開発し、治験を実施して最終的に医療機器承認を得て社会実装することを目的とする。これにより従来外科医の経験に頼らざるを得なかった術式の決定を、数理計算に基づく客観的かつ合理的なものとし、成長する小児患者の生涯にわたる生活の質を良好に維持することを実現する(添付図参照)。2020-2022年度のAMED研究事業により、7症例での後ろ向き観察研究による"ped UT-Heart"システムの開発を行い、引き続き16症例での前向き特定臨床研究を終えた(jRCTs052210139)。分析可能な12例中9例(75%)が有用(5段階評価によるEssentialもしくはVery useful)と判断され、95%CIの最小値は42.8%で主要評価項目(≧30%)を満たした。2024年には性能試験と再現性試験を実施するとともに、治験プロトコルを確立して2024年8月30日に治験届を提出した。2025年には国立循環器病研究センターで治験を開始し、最終的には全国5施設で20症例の多施設共同、前向き、単群非盲検、介入での医師主導治験を実施する。外科執刀医による術後評価に基づく主要評価項目が満たされれば、治験総括報告書を提出するとともに、管理医療機器承認(クラス2もしくは3)を目指して、PMDAの指導を下にさらに必要となるデータの収集を行い、承認申請書類の作成を実施する予定である。